認知度やブランドイメージ向上につながり、近年多くの企業の間でX(旧Twitter)の公式アカウントが運用されています。トラブルを回避しつつ成果を上げるためには、事前に運用ルールを定めておくことが大切です。
企業X(旧Twitter)の運用担当者、いわゆる「中の人」を担当する場合は、運用ルールを定めることから始めましょう。
この記事では、企業X(旧Twitter)における運用ルールの必要性や、運用ルールとして定めるべき項目、運用方法について解説します。
企業X(旧Twitter)における運用ルールの必要性
運用ルールを定めるメリットは以下の通りです。
- リスクやトラブルを最小限に抑えられる
- 投稿の品質を担保できる
- 運用の属人化を防げる
ここからは、運用ルールの必要性について解説します。
リスクやトラブルを最小限に抑えられる
SNSは不特定多数に向けて情報を発信するため、意図しない形で拡散されて炎上につながる可能性が十分あります。
とくに、X(旧Twitter)は気軽に投稿しやすいうえに拡散力が高いことがメリットですが、拡散力の高さゆえに炎上しやすいリスクがあるのは間違いありません。
不適切な発言や情報漏洩などを防ぐためにも、企業アカウントの運用は任せっきりにせず、事前に運用ルールを定めておきましょう。
投稿の品質を担保できる
企業のX(旧Twitter)アカウントを運用する際は、ルールやマニュアルがないと担当者の判断で投稿や返信などが行われてしまう可能性があります。
また複数人で運用する場合は、担当者によって投稿のクオリティや頻度が変動してしまうことも考えられるでしょう。
投稿のトーン&マナーや、投稿回数や頻度、写真・動画の撮影ルールなどを定めておくことで、一定の品質を担保することができます。
運用の属人化を防げる
X(旧Twitter)の運用が属人化すると、大きな問題につながる可能性があります。
X(旧Twitter)運用における属人化とは、アカウントの運用方法や重要なアカウント設定などが、担当者以外で分からなくなってしまう状態のことです。
誰が担当者になっても安定して継続的に運用できるよう、ルールを策定しておくのがよいでしょう。
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以下の資料では、X(旧Twitter)の企業アカウントで企業担当者の方が知っておくべきポイントを解説しています。
- 興味を持ってもらえるプロフィールを作りたい
- 投稿が見てほしいターゲット層に届かない
- 企業公式アカウントの運用における始め方と注意点が分からない
上記でお悩みの方は是非ご参考ください。
企業X(旧Twitter)の運用ルールで定めるべき項目8つ
ここからは、企業X(旧Twitter)の運用ルールで盛り込むべき重要な項目をご紹介します。プライバシーや法律などに関わる問題になるため、十分に対策しましょう。
- 個人情報保護法・プライバシーの権利
- 著作権違反・知的財産権の保護
- 機密事項
- 商標の使用禁止
- ステマ行為の禁止
- 誹謗中傷の禁止
- 責任元の明確化
- 悪質なツール・ソフトの使用制限
具体的な内容については、法律やマーケティングの専門家とともに策定するのがおすすめです。ここからは、それぞれの項目を順に解説します。
1. 個人情報保護法・プライバシーの権利
ユーザーの個人情報を収集・保管・使用する場合は、個人情報保護法とプライバシーポリシーについて明記する必要があります。
とくにSNS上でキャンペーンを実施したり、個人情報を用いたアンケートなどを実施したりする場合に必要です。
どのような情報が個人情報やプライバシーにあたるのか、管理体制や破棄の方法などについても定めましょう。
2. 著作権・知的財産権の保護
SNSに投稿する著作権や知的財産権などについても定めましょう。第三者が使用する許容範囲や、外部の著作物を使用する際のルールを記します。
著作権:著作物を保護するための権利 知的財産権:知的な創作活動によって生まれたものを創作者の財産として保護する権利
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法的措置などのトラブルを避けるため、著作物の価値や権利にもとづいた運用の徹底を周知することが大切です。
3. 機密事項
社外に口外してはいけない機密事項について、SNSやインターネット上に投稿したり、第三者に漏洩してはいけない旨を明記します。
故意ではなく誤って情報を漏洩した場合でも、企業にとって大きな損害につながる可能性があるため注意が必要です。
またユーザーに対する信頼獲得の目的もあります。
4. 商標の使用禁止
企業が外部の商標を使用しない旨を記しましょう。商標とは、該当の企業やサービスであることが分かるような、ロゴマークやサービスマークのことを指します。
商標法の禁止に反して、商標権者から許諾を得ずに使用すると「商標権侵害」にあたるため注意が必要です。
商標法にもとづいた運用を周知することを徹底しましょう。
5. ステマ行為の禁止
PR投稿において、ユーザーに宣伝・広告であることを隠して宣伝活動すること・させることをステルスマーケティング(ステマ)と呼びます。
ステマ行為は禁じられており、ユーザーからの信頼を失う恐れもあるため、やらせ行為・ステマ行為は運用ルールで禁止しましょう。
Twitterではステマによる投稿が多く、ユーザーも敏感になっています。ユーザーに対して明言しておくことで、運営の健全性・透明性をアピールすることができます。
正しい知識を身に着けたうえで、ステマ規制を回避して正しくインフルエンサーマーケティングやSNS広告を活用したいと検討している方は、ぜひ本記事と併せて以下のセミナー動画をご視聴ください。
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SNSのステマとは?ステマ規制や炎上の具体例、対策法も解説
6. 誹謗中傷・不適切な発言の禁止
誹謗中傷や不適切な発言にあたる投稿を禁止することを制定しましょう。それらに判断される内容を明記したうえで、線引きしておくのがおすすめです。
また炎上時の対応方法なども社内で定めておくといいでしょう。
7. 責任元の明確化
SNSアカウントの責任元を明記することも大切です。企業名やブランド名で運営するアカウントや、スタッフ名アカウントを運用する場合、企業に責任がある旨を明確化しましょう。
たとえば、企業名の記載があるスタッフのアカウントを運用する場合は、「投稿内容はあくまで個人アカウントとしての投稿です」といった旨を記載します。
これは、企業が関与していないSNSアカウントで問題が発生した場合に、企業に一切の責任がないとするためです。
8. 悪質なツール・ソフトの使用制限
SNS運用を行う場合に、ウイルスやスパイウェアなど悪質なソフトウェアやツールを使わないようにしましょう。
また悪質ツールによる被害が起こった場合にも、企業は一切関与していない、ほう助しないことを記します。
9. 投稿手順
担当者が変わっても分かりやすい投稿手順を定めることも大切です。
マニュアル化して複数人で運用できる体制にしておけば、属人化の防止につながり、引継ぎや緊急時の対応もスムーズに行えるでしょう。
また、誤字脱字や不適切な投稿を防ぐためにも、複数人でチェックしたり、スプレッドシートなどで下書きを確認する段階を設けるのもおすすめです。
投稿文の下書きを共有し、複数人でチェック・修正した上で、予約投稿または投稿を行うといった流れにするといいでしょう。
10. アカウントのトーン&マナー
X(旧Twitter)を運用する際は、アカウントのトーン&マナーを設定して運用しましょう。
時には「中の人」と呼ばれるキャラクター像を作ることもあります。どのような形で運用するとしても、商品・サービスに合わせた自社アカウントのキャラクターを確立しましょう。
たとえば、目的がマーケティングならフランクな印象に、広報PRならステークホルダーを意識した印象に、カスタマーサポートなら正確性に重きを置いて堅めにするといったイメージです。
また、使用してはいけない言葉遣いや単語、記号、画像などもリストアップしておくことで、炎上リスクを未然に防ぐことも大切です。
企業X(旧Twitter)を運用する方法・手順
企業X(旧Twitter)における運用方法は以下の通りです。
- 運用のKPI・KGIを設定する
- ペルソナを設定する
- 運用の担当者やルールを定める
- アカウントを開設する
- 分析と検証を繰り返して改善する
ここからは、それぞれの運用方法や手順について解説します。
1. 運用のKPI・KGIを設定する
X(旧Twitter)を運用する場合は、KGIやKPIなど、成果の判断基準となる指標を設定することが大切です。
KGI:プロジェクトなどの長期的な最終目標のこと KPI:プロセスごとの短期的な達成度を測る中間目標のこと
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X(旧Twitter)の運用目的は企業によってさまざまで、何を目的に運用するかによって適切なKGI・KPIは異なります。
「マーケティング」「広報」「カスタマーサポート」「ユーザーとのコミュニケーション」など、目的に合わせて、エンゲージメント率やフォロワー数、クリック数などを指標にしましょう。
2. ペルソナを設定する
目的や目標が定まったら、どんな人に向けて情報発信するかを明確にしましょう。
X(旧Twitter)運用ではターゲット層を明らかにしないと、投稿の内容にブレが生じたり、うまく成果につながらなかったりする可能性があるためです。
ターゲットを設定する際は、より深堀りして顧客像を明確にできる「ペルソナ」を設定しましょう。
ペルソナ設定について詳しく知りたい方は、こちらの記事をぜひご覧ください。
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もし、自社の施策に「X(旧Twitter)って本当に使えるの?」「他のSNSとの相性は?」とお悩みの方は、以下の資料をご参照ください。
資料では以下の内容をメインに解説します。
- X(旧Twitter)/Instagram/TikTok/LINEなどの様々なSNSの強みや特徴
- 各SNSの利用層の詳細
- 各SNSに最適なキャンペーン施策の詳細
自社のマーケティングをどのプラットフォーム上で行うべきかお悩みの方は是非ご参考ください。
3. 運用の担当者やルールを定める
一口にX(旧Twitter)運用と言っても、日々の投稿やクリエイティブの作成、ユーザーへの返信、競合調査、効果測定など、さまざまな工数が必要になります。
X(旧Twitter)の場合は、1日に複数回投稿する場合も多いため、業務量によっては運用しきれない可能性もあるでしょう。
他の業務の担当範囲や業務量を加味して、担当者をアサインするのがおすすめです。余裕があればSNS運用担当者を採用するのもよいでしょう。
4. アカウントを開設する
事前の準備が整ったら、アカウントを開設しましょう。X(旧Twitter)アカウントは個人用と企業用に分かれておらず、作成手順は難しくありません。
プロフィール画像やユーザー名、プロフィール文などを工夫して、ユーザーにフォローしてもらいやすい魅力的なプロフィールを作りましょう。
またキャンペーンや最新情報など、フォロワーに見てもらいたい内容は固定ツイートにするのがおすすめです。
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5. 分析と検証を繰り返して改善する
普段の投稿やマーケティング施策に対して、分析と検証を繰り返すことはマーケティングにおいて基本です。
あらかじめ設定したKGI・KPIをもとに、どのくらいフォロワーが増えたか、エンゲージメント率はどのくらいかなどの数値を測定しましょう。
X(旧Twitter)には無料のアナリティクスが備わっているため、難しいツールを使いこなす必要はありません。
さらに詳しいデータをもとにPDCAを回して改善を繰り返したい場合は、X(旧Twitter)の分析ツールを活用するのもおすすめです。
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続いて、企業X(旧Twitter)を運用するコツについて解説します。
- 目的からブレないよう運用する
- 競合や人気アカウントを分析する
- 投稿前の確認を念入りに行う
それぞれのコツについて見ていきましょう。
1. 目的からブレないよう運用する
X(旧Twitter)を運用する際は、企業ごとに「マーケティング」「広報」「プロモーション」「カスタマーサポート」など、さまざまな目的があります。
運用を始める前にこれらの目的を定めますが、一度運用をスタートしたら、フォロワーが定着するまで目的を変えずに運用することがおすすめです。
アカウントの立ち位置が不明瞭になると、当初からのコンセプトにブレが生じて、フォロワー離れが起きるリスクもあります。
目的を変えるとなると、KGIやKPIなどの目標も変更しなければならないため、どうしても変更したい場合は別のアカウントとして運用するのも1つの手です。
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2. 自社アカウントや競合を分析する
自社のアカウント運用を分析してPDCAを回すことも重要です。
X(旧Twitter)の機能やアルゴリズムはアップデートされるため、以前までは成功していた運用方法が通用しなくなることも珍しくありません。
そのため、自社アカウントを運用する際は、定期的にPDCAを回しましょう。
また、成功している人気アカウントや競合の企業アカウントをチェックし、運用のヒントを探ることも大切です。
投稿内容やコミュニケーション方法、キャンペーン情報など、ベンチマークとなるアカウントを細かく分析しましょう。
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3. 投稿前の確認を念入りに行う
X(旧Twitter)は、国内外問わず世界中からアクセスでき、不特定多数が閲覧できるSNSであることを忘れてはいけません。
拡散性が高いため、気軽に投稿できる一方で、意図的ではなくても不適切な言動や特定の誰かを批判するようなツイートが拡散されてしまうリスクがあります。
炎上などのトラブルを防ぐためにも、トーン&マナーや投稿内容のルールの策定を行い、投稿内容の方向性を定めておきましょう。
また、情報の正確性に不安がある場合や、誤解を生む可能性がある内容は、投稿前にダブルチェックする体制を整えることも重要です。
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企業X(旧Twitter)の運用ルールまとめ
企業X(旧Twitter)を運用することで、認知拡大やブランドイメージ向上のほか、効果的な施策によって売上アップや販売促進につながります。
ただし、X(旧Twitter)は拡散力が高いがゆえに、炎上が広がりやすいリスクもあるため注意が必要です。あらかじめ運用ルールを決めたうえで、ルールに基づいた運用を心がけましょう。
企業のX(旧Twitter)アカウントにおける始め方や、プロフィールの作り方などについては、下記の資料をぜひダウンロードください。