ここ数年デジタルマーケティングの世界では、インフルエンサーを使ったマーケティングが注目を集めています。WEB関連のニュースでもしばしば取り上げられるテーマなので、なんとなく知っているという方も少なくないでしょう。
今回はそのインフルエンサーやインフルエンサーマーケティングについて、特徴や注意点を説明していきます。
インフルエンサーマーケティングの基礎知識
インフルエンサーマーケティングのやり方について解説する前に、インフルエンサーマーケティングの基礎知識をおさらいしましょう。
インフルエンサーとは?
インフルエンサーという言葉は、「影響」や「感化」を意味する英語の「Influene」から来ています。そしてその言葉通り、他の人や世の中の消費行動に影響を与える力を持った人たちのことを呼びます。
インフルエンサーの具体例としては、特定分野に詳しい専門家や知識人と呼ばれる人たち、有名ブロガーなどインターネット上で強い影響力を持っている個人、感度の高い芸能人、ファッションモデルといった人たちが挙げられます。
実際、彼らがインターネット上のメディア(ブログやSNSなど)を通して発信する情報や口コミは、特定の商品やサービスに対する一般消費者の判断や行動に非常に高い影響を与えています。
インフルエンサーマーケティングとは?
インフルエンサーが持つ高い影響力を利用して、彼らに商品やサービスを宣伝してもらう手法がインフルエンサーマーケティングです。
インフルエンサーマーケティングを行うには、まずターゲットとなる消費者に影響を与えやすいメディアを選ばなければいけません。たとえば若者に影響を与えたいのであれば、SNSを利用するといった具合です。こうすることでメッセージが効率よく消費者に伝わるようになります。
インフルエンサーは、立場としては同じ消費者のひとりです。自分と同じ立場の人が発信する体験談・評価・口コミは身近で信用できるものに感じられます。
さらにインフルエンサーはその感性や価値観に共感するファンやフォロワーを持っているので、「この人が言うなら間違いない」「この人と同じものが買いたい」と多くの人々に感じさせることができます。
インフルエンサーマーケティングのメリット・デメリット
インフルエンサーマーケティングのメリット・デメリットを以下の表にまとめました。
メリット
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デメリット
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- 柔軟にマーケティングできる
- ターゲティングがしやすい
- 情報を信用してもらいやすい
- 口コミの拡散やUGC獲得につながる
- オンライン販売と相性が良い
- データ取得や効果分析がしやすい
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- インフルエンサーの選定が難しい
- ステルスマーケティングによる炎上リスクがある
- 高いリテラシーを維持する必要がある
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インフルエンサーマーケティングは、インフルエンサーの選定や炎上対策をしっかりと行うことで、高いマーケティング効果が見込める施策ということが分かります。
インフルエンサーマーケティングのやり方5ステップ
実際にインフルエンサーマーケティングを実施する流れは以下の通りです。
- 目標やターゲットを設定する
- どのSNSでPRするか選ぶ
- インフルエンサーをキャスティングする
- 投稿内容や方法を決める
- 実際に投稿して効果分析を行う
ここからは、それぞれの手順を解説します。
1. 目標やターゲットを設定する
インフルエンサーマーケティングを実施する前に、目標とターゲットを定めることが重要です。この2つが定まっていないと、PRの方向性がぶれたり興味関心のあるユーザーに対して情報を届けられなくなったりします。
たとえば、狙ったターゲットにリーチできるインフルエンサーを選定する必要があります。また同様に、PRの目標達成に貢献できそうな人物を起用するためにも、事前に目標とターゲットについて明確にしておきましょう。
SNSマーケティングのターゲット設定において重要なペルソナについて詳しく解説しているので、ぜひ「SNSマーケティングで重要なペルソナ設定とは|具体例や作成のコツを紹介」の記事もご覧ください。
2. どのSNSでPRするか選ぶ
InstagramやTwitter、TikTok、YouTubeなど、各SNSによって特徴や強みは異なります。自社の商品やサービスのPRに適したSNSを選ぶことで、より効果的にインフルエンサーマーケティングを行えるでしょう。
コスメやファッション、旅行、グルメなど写真や動画コンテンツを使ってPRするならInstagram、リアルタイム性を重視するならTwitter、幅広い年齢層を狙うならYouTubeなど、特性や目的に応じて、自社と相性の良いSNSを選びましょう。
自社のマーケティングをどのプラットフォーム上で行うべきかお悩みの方は、ぜひ以下の資料をご参考ください。
- Twitter/Instagram/TikTok/LINEなどの様々なSNSの強みや特徴
- 各SNSの利用層の詳細
- 各SNSに最適なキャンペーン施策の詳細
3. インフルエンサーをキャスティングする
目標やターゲット、SNS媒体が決まったら、実際にインフルエンサーをキャスティングします。自社商品やサービス、ブランドイメージに合ったインフルエンサーを選ぶことで、相乗効果が期待できるでしょう。
自社で直接やり取りしてキャスティングする方法もありますが、連絡や交渉、商品の発送、投稿内容やPRのディレクション、炎上対策、報酬の支払いなどをすべて行うとなると、非常に手間やリソースがかかります。
インフルエンサーマーケティングに慣れていない方や、これから多くの施策を実施したい、リソースに余裕がないという場合は、インフルエンサーマーケティング会社やプラットフォームを利用するのがおすすめです。
弊社が提供している「ハッシュタグSEO」はInstagramの検索結果の上位表示を実現させるサービスです。Instagramのシステムにとって評価の高いインフルエンサーを把握し、それらにPR投稿を依頼することによって、投稿の外部露出が増え、潜在顧客の獲得が期待できます。
本サービスにご興味のある方は、ぜひお気軽に下記の資料をダウンロードしてみてください。
4. 投稿内容や方法を決める
どのような方法で商品やサービスをPRするか、投稿の日時や流れなどをあらかじめ決定します。とくにSNS媒体やターゲットごとに投稿時間、タグの選定、好まれるクリエイティブに差が出るため、しっかり準備することが大切です。
ただし、条件を細かく設定しすぎるとPR感が強くなり、ユーザーに嫌がられてしまうため注意しなければなりません。
もちろん炎上やステマ対策として最低限のルールを設ける必要はあるものの、投稿内容はインフルエンサーの裁量に任せるといいでしょう。
5. 実際に投稿して効果分析を行う
インフルエンサーによるPR投稿が行われたら、必ずPRの効果分析を行うことが重要です。エンゲージメント数やインプレッション数、クリック数などの指標をチェックして、さまざまな角度から分析しましょう。
基本的な数値は、各SNSに備わっている分析ツールで確認することができます。加えて、Googleアナリティクスや外部ツールが用いられることも多いです。
あらかじめ設定しておいた目標(KPI)に達しているか確認することで、今後のマーケティング施策につながる投稿内容の傾向などが見えてくるでしょう。
インフルエンサーマーケティングで活用されるSNS
インフルエンサーマーケティングを実施する前に、各SNS媒体ごとの特徴や強みを理解しておきましょう。
自社のPRしたい商品・サービスと、利用するSNSの相性をしっかり考えて選定しなければ、思ったような成果が上げられなくなります。
代表的な3つのSNSの特徴は以下の通りです。
Instagram
Instagramは、写真や動画などのコンテンツで視覚的に訴求できるSNSです。写真映えするいわゆる「インスタ映え」した画像が目に留まりやすい特徴があります。
10~20代の若年層を中心に男女ともに人気が高く、とくに美容やファッション、旅行、グルメ関連のコンテンツと相性が良いです。
Twitter
Twitterは拡散性とリアルタイム性の高さが特徴です。Twitterにはリツイート機能があり、より多くのユーザーに情報を届けられるため、認知拡大を目的としたPRと相性が良いでしょう。
また直接遷移できるリンクを掲載できるので、購入サイトや詳細サイトへの誘導が可能となり、商品やサービスを幅広く宣伝できます。
YouTube
YouTubeは、映像や音声など動画コンテンツに特化していることが特徴です。主にYouTube上で「YouTuber」として活躍している人物を起用するのが一般的です。
視聴者層は子供から大人まで幅広いため、さまざまなターゲットへの訴求が行えるメリットがあります。たとえば商品紹介コンテンツであれば、開封から使用までの流れやサイズ感、使用感が分かりやすく伝わり、多くの情報を届けることが可能です。
またゲーム系アプリやオンラインサービスであれば、実際にインフルエンサーがプレイしたり利用したりする映像を見てもらうことで、よりイメージしやすいPRが行えます。
インフルエンサーマーケティング会社の施策事例3選
実際にインフルエンサーをどのように活用すべきかイメージしにくい方もいるのではないでしょうか。ここでは、一部の施策事例を解説します。
商品やサービスのギフティング
インフルエンサーに商品やサービスを無償で提供する代わりに、PRしてもらう手法のことです。インフルエンサー自身が実際に利用したうえでレビューするため、信頼感のあるリアルな感想を届けることができます。
ギフティングは報酬を支払う有償ギフティング、報酬のない無償ギフティングがあります。無償ギフティングはコストが抑えられるものの、有償ギフティングのほうがPR依頼を受けてもらいやすいでしょう。
現地訪問・レポート
インフルエンサーに店舗やイベント、観光地などに訪問してもらい、観光やサービスなどを体験してもらう手法です。
インフルエンサーが情報を発信することで、消費者目線で会場の雰囲気やサービス内容をユーザーに伝えることができます。
飲食店などでは、店舗にインフルエンサーを招待して実際に食事してもらい、レビューやPR投稿をしてもらうケースも最近よく見られます。
企画・コンサルティング
商品やサービスをインフルエンサーにプロデュースしてもらったり、コラボレーション企画に参加してもらったりする手法のことです。
たとえば、美容やコスメ業界では、美容系YouTuberに依頼してプロデュースアイテムを発売する事例も増えています。
インフルエンサー自身のファンを巻き込んだ形でブランド価値を高めたい、あらゆる視点で新たな商品・サービスを展開したい企業におすすめです。
インフルエンサーマーケティングにかかる費用相場
インフルエンサーマーケティングでは、フォロワー数に応じた料金設定であることが多いです。フォロワー1人あたりの単価はインフルエンサーの影響力や施策内容によって変動します。
つまり1フォロワー2円の場合もあれば、10円の場合もあるということです。
たとえば、フォロワー10万人でフォロワー単価3円のインフルエンサーにレビューする場合は、1回の投稿で30万円がかかります。
小規模のPRであれば費用は少ないものの、動画配信であれば撮影や編集などの工数に応じてさらに費用は上乗せになる可能性があります。
また、インフルエンサーマーケティング会社やプラットフォームを利用して依頼する場合は、料金が上乗せされることを考慮しましょう。
インフルエンサーマーケティングの注意点
インフルエンサーマーケティングを実施するときの注意点は以下の通りです。
- ソーシャルスコアだけで選ばない
- 自由度の高い投稿を促す
- ステマ・炎上対策をする
ここでは、それぞれの注意点について解説します。
ソーシャルスコアだけで選ばない
マーケティングに使うインフルエンサーを選ぶポイントは、その人が持つ「影響力」です。
この影響力を計る指標としてしばしば使われるのがソーシャルスコアです。具体的には、Twitter・Facebook・InstagramなどのSNSのフォロー数などがそれにあたります。確かにフォロワーの数が多ければ多いほど、そのユーザーの投稿を目にする人は多いといえるでしょう。
ただしソーシャルスコアには落とし穴もあります。
まず第一に、ソーシャルスコアには人間の感情に関する分析が含まれていません。SNSのフォロワーが、フォローする相手に必ずしも好意を持っているとは限らないのです。
第二に、ネガティブな投稿が高く評価されているSNSユーザーもいます。こうしたインフルエンサーは、マーケティングにとって逆効果です。
第三に、投稿数は少ないのに、一部の投稿が偶然バイラルヒットしてソーシャルスコアが上がってしまう人もいます。これらの人たちは、見た目のソーシャルスコアに見合うほどの影響力を持っていません。
インフルエンサーを選定するには、ソーシャルスコアだけではなくフォロワーの親和性や投稿内容など総合的な判断が必要となります。
自由度の高い投稿を促す
インフルエンサーとなる人に、特定商品のことだけを発信し続けてもらうのは困難です。仮にそうしたとしても、効果は下がっていってしまうでしょう。
インフルエンサーマーケティングで効果を上げるためには、特定商品についての情報だけでなく、商品に関係した趣味やライフスタイルといったテーマを広く相手に提供することで、自由度の高い投稿を促すと良いでしょう。
その結果、インフルエンサーがフォロワーを巻込みやすい環境を作ることができます。
ステマ・炎上対策をする
PR投稿であるにも関わらず、PRの旨を隠して投稿することは、「ステルスマーケティング(ステマ)」に該当します。消費者にステマだと誤認されると、炎上や商品のイメージダウンにつながります。
企業が社会的信頼を失う重大な事態にもなりかねないので、インフルエンサーマーケティングの実施には、細心の注意が必要です。
また、ステマをしていないとしても、モラルに欠けた投稿やPRをするとSNSで炎上する可能性があります。SNSは一つの投稿によって炎上することもあり、ネガティブなニュースとして大きく取り上げられるリスクがあるのです。
PR投稿の際は、インフルエンサーの選定を慎重に行ったうえで、大まかな運用ルールを決めておき、事前に投稿内容をチェックする体制を整えておきましょう。
エンゲージメント率が高いマイクロインフルエンサーに注目
そこで今注目されているのが、マイクロインフルエンサーです。マイクロインフルエンサーとは、数千〜1〜2万人規模のフォロワーを持つインフルエンサーです。
フォロワーが何百万人もいるようなパワーインフルエンサーと比べて、マイクロインフルエンサーのフォロワーは同じ趣向を持っている人たちである場合が多く、エンゲージメントが高くなる傾向があるようです。
一方でコミュニケーション範囲は狭くなるため、影響力は限定的となります。さらに個人の趣味・傾向によって、情報発信の意欲が左右されてしまう点にも気をつけるべきでしょう。
そのためマイクロインフルエンサーを探す際には、誰を選ぶか・なぜ選ぶかを十分に意識しなくてはなりません。自社の商品やサービスに親和性があり、協力的な人物を探すことが重要です。
候補となる人にコンタクトする際も、特定の商品のことだけを話すのではなく、多角的なテーマを継続的に伝えるようにして、相手の情報発信意欲を引き出してください。そうすることで、その人のネットワークを使って効率よく拡散させることができるようになるでしょう。
大事なことは、交渉をする相手が本当に自社にとってのインフルエンサーになるかどうかです。自社にとってのインフルエンサーは、必ずしもフォロワーの多い人とは限りません。
自社に最適なインフルエンサーを見つけよう!
インフルエンサーを使ったマーケティングは、マスメディアによる企業広告よりはるかに効率が良く効果的です。
ただしその効果を十分に発揮するためには、ソーシャルスコアなどの影響力の高さだけでなく、自社の商品に本当に親和性があるか、という視点でインフルエンサーを探す必要があります。
今回の記事で説明した内容を参考にしながら、自社に最適なインフルエンサーを見つけ出してみてください。
なお、自社の施策で「どのSNSを使うべきか」「ターゲットに届く運用術が知りたい」という方は、こちらの資料をぜひご覧ください。