近年はSNSを利用してブランディングに取り組む企業が増えています。SNSを使ったブランディングは「SNSブランディング」とも呼ばれています。
企業のSNS担当者の中には、「SNSブランディングとは具体的に何か」「成功させるコツや事例を知りたい」とお考えの方もいるのではないでしょうか。
この記事では、SNSブランディングのメリットや成功事例、成功させるコツについて解説するので、ぜひ参考にしてください。
そもそもブランディングとは

そもそもブランディングとは、自社や商品・サービスに対して、ユーザーに一貫したイメージや価値を持ってもらうための取り組みです。
たとえば、「高級感がある」「親しみやすい」「安心できる」といった印象を意図的に形成し、選ばれる理由をつくることが目的です。
ブランドイメージは、ロゴやデザイン、キャッチコピーだけでなく、企業の発信するメッセージや顧客との接点全体によって形づくられます。
ブランディングが成功すれば、価格だけに左右されず、長期的にファンを獲得できる可能性が高まります。まずは、ブランドとして「どう見られたいか」を明確にし、一貫して消費者に届けることが重要です。
SNSブランディングとは
SNSブランディングとは、SNS上で企業のブランドの価値を高める取り組みのことです。
自社や自身の価値観やメッセージを効果的に伝え、その企業らしさを認知させることで、信頼や憧れなどのブランドロイヤリティを高めることを言います。
SNSブランディングで重視すべき要素には、コンテンツ戦略、ビジュアル、コミュニケーションスタイルなどがあります。
優れたコンテンツの提供やブランドの一貫性を保つことは、フォロワーの獲得やエンゲージメントの向上につながるのです。
SNSブランディングは、他社との差別化を図り、独自のブランドを構築することで、目標の達成に貢献する戦略と言えます。
SNSブランディングに注力すべき理由
SNSブランディングに注力すべき最大の理由は、利用者数の増加によって企業とユーザーの接点がますます広がっているためです。
総務省の令和6年情報通信白書によると、日本国内のSNS利用者数は2023年時点で1億580万人に達し、2028年には1億1,360万人へと拡大する見通しです。
人口減少が進む中で、SNSの利用者数が右肩上がりで成長していることは、生活の中にSNSが深く根付いている証拠といえます。

参照:令和6年情報通信白書|総務省
こうした環境下では、SNS上での企業のイメージや発信力が、ユーザーの購買行動やブランドの信頼性に大きな影響を与えるでしょう。
単なる投稿ではなく、継続的に一貫した世界観を届けることで、企業への共感やファンの獲得につながります。
テレビや紙媒体の影響力が弱まりつつある今、SNSブランディングは欠かせない戦略のひとつといえるでしょう。
SNSブランディングに力を入れるメリット7つ
SNSブランディングに力を入れるメリットは下記のとおりです。
- 認知拡大を図れる
- エンゲージメントが向上する
- 広告費用の削減につながる
- 顧客満足度が向上する
- UGCの増加が見込める
- ユーザーと双方向の交流ができる
- 顧客の反応・意見を受け取れる
ここでは、それぞれのメリットについて解説します。
1. 認知拡大を図れる
SNS上で魅力的なコンテンツを発信したり情報共有することで、多くのユーザーにブランドの存在を知ってもらえます。また拡散されればリーチ範囲を広げられるため、より多くの人々にブランドが浸透します。
SNS上での活動を通じて、興味を持ったユーザーが自らアクションを起こすきっかけを提供できます。認知を広げることで、新規顧客の開拓にもつながるでしょう。
エンゲージメントが向上する
SNSブランディングによって顧客とのエンゲージメントを高めることができます。
コメントやいいね、シェアなどのアクションを受け取ることで、フォロワーとのコミュニケーションや相互作用が増えます。
積極的な交流によって、ユーザーはブランドとの関係性を深め、ブランドに対する好感度や信頼感が高まります。
エンゲージメントの向上はユーザーの購買意欲や口コミの発生にもつながるのです。
また、エンゲージメントが高まることで、SNSアルゴリズムによる露出も向上し、さらなるフォロワーの増加につながります。
広告費用の削減につながる
SNS上でコンテンツを展開したり、エンゲージメントを向上させたりすることで、広告費用の削減につながります。
ユーザーが自発的にコンテンツを共有できるような仕組みをつくれば、広告に比べてコスト効率が高くなります。また、SNS広告を活用する場合でも、ターゲティング機能を利用して効果的に広告を配信できるでしょう。
ターゲットユーザーに焦点を絞り、効果的な広告キャンペーンを展開することで、無駄な広告費用を節約できます。SNSを活用したオーガニックなアプローチと広告活動の組み合わせなど、コスト効果の高いマーケティング戦略を実現しましょう。
顧客満足度が向上する
SNSを通じたコミュニケーションやサポートは、顧客満足度の向上につながります。
迅速かつ適切な対応で顧客のフィードバックや問い合わせに対応することで、顧客はブランドに対して良い印象を持ちます。
さらに、顧客満足度が向上すれば、リピート購買や口コミを促進し、顧客の長期的な忠誠心を醸成します。
顧客が満足し、ブランドにポジティブな感情を抱くことで、競合他社との差別化にもなります。
UGCの増加が見込める
SNSブランディングを行うことで、ユーザー生成コンテンツ(UGC)が増加します。
UGCとは、ユーザーが自発的に作成し、シェアするコンテンツのことです。これには口コミ、レビュー、写真、動画などが含まれます。
UGCが増えると、企業やブランドの信頼性が高まり、他のユーザーに対して説得力のある情報として機能します。
UGCは無料で生成されるため、宣伝やクリエイティブ制作コストの削減にもつながります。SNSブランディングを強化することで、自然にUGCが生まれ、ブランドの認知度やエンゲージメント向上につながるでしょう。
6. ユーザーと双方向の交流ができる
SNSブランディングの大きなメリットのひとつは、ユーザーと直接コミュニケーションが取れる点です。
テレビCMや紙広告では一方通行の情報発信にとどまります。一方で、SNSではコメントやメッセージ、リポストなどを通じて、ユーザーの反応をリアルタイムで確認しながらやり取りが可能です。
企業の投稿に寄せられた声へ丁寧に返信することで、ブランドへの信頼感や親近感が生まれます。
特に若年層を中心に、「企業と気軽にやり取りできる」という距離の近さがブランドへの愛着につながりやすい傾向があります。
ユーザーとの交流を通じて、ただの商品やサービスではなく、共感やつながりを提供できる点は、SNSならではの大きな強みです。
7. 顧客の反応・意見を受け取れる
SNSは、顧客の本音やリアルな感想を知るうえでも非常に有効です。
商品やサービスに関する率直な意見、使用後の感想、改善点の要望などが自然発生的に投稿されるため、企業にとって貴重なマーケティングデータとなります。
アンケートやフォーカスグループに比べ、コストをかけずに日常的な「声」を拾える点も大きな魅力です。
また、否定的な意見やクレームも早期に発見・対応することで、ブランドの信頼性を高めるチャンスになります。
肯定的な声だけでなく、課題や期待も含めたフィードバックを丁寧に受け取ることで、商品改善やサービス向上につなげる好循環が生まれるでしょう。
SNSブランディングのデメリット
SNSは企業にとって非常に有効なブランディング手段ですが、メリットだけに注目して運用を始めると、想定外の課題に直面する可能性があります。
ここでは代表的なデメリットを3つ解説します。
- SNS運用には負担や時間がかかる
- SNSのアルゴリズムに影響されやすい
- 炎上リスクが伴う
それぞれ順に見ていきましょう。
SNS運用には負担や時間がかかる
SNSは「無料で始められる」「誰でも運用できる」と思われがちですが、実際には継続的な運用に多くの時間と労力が必要です。
投稿内容の企画・制作、画像や動画の編集、投稿タイミングの最適化、コメント対応、数値分析など、地道な作業が日常的に発生します。
特に企業アカウントの場合、ブランドイメージに関わるため、投稿ひとつにも高い品質と一貫性が求められるでしょう。
また、すぐに成果が出るわけではなく、フォロワーの増加やエンゲージメントの向上には時間がかかります。SNSブランディングを本格的に行うなら、戦略設計とともに長期的な運用体制の整備が不可欠です。
SNSのアルゴリズムに影響されやすい
SNSでは、投稿がユーザーのタイムラインに表示されるかどうかが、各プラットフォームのアルゴリズムに強く左右されます。
どれだけ質の高いコンテンツを作っても、アルゴリズムの仕様変更によって、急に露出が落ちることもあり得ます。
集客や認知獲得を目的としたブランディング施策にとっては、見過ごせないリスクといえるでしょう。
たとえばInstagramではリールやストーリーズが優先されやすく、X(旧Twitter)ではリアルタイム性や投稿頻度が鍵になります。
こうした特性を理解したうえで、各プラットフォームに最適化した投稿を継続的に見直すことが大切です。
ただし、不安定さはあるものの、アルゴリズムの傾向を分析し、変化に合わせて柔軟に運用スタイルを調整できれば、むしろ他社との差別化を図れるチャンスにもなるでしょう。
■関連記事
【最新版】SNSのアルゴリズムとは?SNS運用する上で知っておきたいこと
炎上リスクが伴う
SNS運用でもっとも注意すべきデメリットのひとつが、炎上リスクの存在です。
意図しない表現、差別的・政治的な解釈を生む表現、時流にそぐわない発言などが原因で、一瞬にして批判が集中することがあります。
拡散力の高いSNSでは、わずかな投稿が数万人に届き、ブランドイメージを大きく損なう事態にもなりかねません。
特に企業アカウントでは、「一人の担当者の投稿」が「企業全体の意見」として受け取られるため、情報発信には細心の注意が求められます。
炎上後の対応を誤れば、ユーザー離れや不買運動につながる恐れもあるでしょう。
リスクを最小限に抑えるためには、運用ルールの整備、ダブルチェック体制の構築、炎上時の対応マニュアルの準備などが重要です。
SNSブランディングの代表的なプラットフォーム
SNSごとに利用者層や投稿形式、強みが異なるため、自社のターゲットやブランディング戦略に合ったプラットフォームを選ぶことが重要です。
SNS名 |
主なユーザー層 |
特徴・強み |
相性の良い活用例 |
Instagram |
20〜30代の女性 |
写真・動画を活かしたビジュアル訴求が強い |
・ファッション ・美容 ・グルメ ・ライフスタイル |
X(旧Twitter) |
10〜40代の男女 |
拡散力とリアルタイム性に優れる |
・キャンペーン告知 ・ニュース ・軽めの発信 |
YouTube |
全年齢(特に30〜50代) |
長尺コンテンツで深い情報伝達ができ、資産性がある |
・商品紹介 ・企業ストーリー ・教育系動画 |
TikTok |
10〜20代の若年層 |
ショート動画、音楽やテンポ重視、拡散力が高い |
・エンタメ系商品 ・舞台裏紹介 ・チャレンジ企画 |
Facebook |
30〜50代の社会人層 |
実名制で信頼性が高く、地域・ビジネスに強い |
・イベント情報 ・社内報 ・地域密着型の発信 |
以下に代表的な5つのSNSを紹介します。
Instagram
Instagramは写真や動画を中心としたビジュアル重視のSNSです。
ユーザーは20〜30代の女性を中心に構成され、ライフスタイルや美容、ファッション、飲食など感性に訴えるジャンルと特に相性が良いとされています。
投稿の世界観や色味、フォントなどに統一感を持たせることで、ブランドの印象を視覚的に強く訴求できます。
ストーリーズやリールを使って、気軽な発信と深いファン層の育成を両立することも可能です。おしゃれで洗練された印象を届けたい場合に向いています。
X(旧Twitter)
X(旧Twitter)は、情報をリアルタイムに発信できるリアルタイム性が最大の特徴です。
2024年11月時点で、X(旧Twitter)の日本国内MAUは約6,700万人と推計されており、若年層から中高年層まで幅広く利用されています。
参照:「X Corp. Japan 株式会社」への社名変更のお知らせ
10代〜40代まで幅広いユーザー層を抱えており、時事ネタやキャンペーンの告知などスピーディーな情報発信に適しています。
また、リポスト機能によって拡散力も高く、話題性のある投稿がバズる可能性もあります。
フォーマルすぎない言葉遣いで、ユーザーとの距離感を縮めやすい点も魅力です。親しみやすさを軸にブランディングしたい企業におすすめです。
YouTube
YouTubeは動画を通じて多くの情報を丁寧に伝えることができるSNSです。
2024年10月時点で、YouTubeの日本国内月間アクティブユーザー数は約7,370万人と推計され、全世代に高く浸透しています。特に30~50代での利用率が87%超と高く、幅広い層へリーチ可能なSNSです。
参照:好きと出会える YouTube は、深掘り、行動につながる場所へ —— ショート動画とテレビ視聴が成長を牽引
利用者の年齢層は幅広く、子どもからシニア層まで幅広く活用されています。商品の使い方を紹介するチュートリアルやインタビュー、企業のストーリーなど、長尺コンテンツによって信頼性やブランドの深みを表現することが可能です。
検索機能が強いため、資産型コンテンツとして蓄積しやすい点も強みです。ストーリー性や教育的要素を含んだブランディングを展開したい場合に最適です。
TikTok
TikTokはショート動画を中心としたSNSで、エンタメ性の高いコンテンツが好まれます。
TikTokは日本国内で18歳以上ユーザーが約2,700万人にのぼり、成人向けインターネットユーザーの約25%に達しています。
参照:TikTokの平均視聴時間・利用回数は伸長し、広告・課金メディアとしても成長
若年層中心の高い拡散力を誇り、トレンドや「バズ」を狙った戦略と非常に相性が良いSNSです。
テンポの良い編集、音楽の活用、ユーモアや親近感のある演出が求められるため、気軽に楽しめるコンテンツ作りが大切です。
商品紹介や企業の裏側を“遊び心”を持って伝えることで、ユーザーの関心や共感を引き出しやすくなります。
Facebook
Facebookは実名登録制という特性から、信頼性の高い情報発信が求められるSNSです。
2025年5月時点で、Facebookの日本国内月間アクティブユーザー数は約6,170万人に達し、人口の約49.5%が利用しています 。
参照:フェイスブック ジャパン長谷川代表が語る「退任の真意」--独占ロングインタビュー
30〜50代のビジネスパーソンやファミリー層が主なユーザーで、他のSNSに比べて年齢層が高めです。
BtoB企業や地域密着型のビジネスに向いており、イベント情報や活動報告、社内ニュースなどの発信がしやすい環境です。
また、コミュニティグループ機能を活用すれば、顧客との関係を深めたり、継続的なつながりを築くこともできます。信頼性や安定感を重視したブランド構築に適しています。
SNSブランディングの手順|6ステップ
SNSブランディングは、計画性のない投稿を続けるだけでは効果を出しにくく、明確な戦略と手順に沿った取り組みが必要です。
以下では、企業が実践しやすい6つのステップを紹介します。
- 市場調査・分析を行う
- 自社の立ち位置を明確にする
- ブランドコンセプトを定義する
- ブランドアセットを制作する
- ブランディング戦略を実施する
- 定期的にブランディング効果を検証する
それぞれのステップについて詳しく解説します。
1. 市場調査・分析を行う
最初のステップは、市場や競合、ターゲットユーザーに関する情報を収集・分析することです。
競合のSNS活用状況やフォロワーの反応、人気のコンテンツ形式などを調べることで、今の市場におけるトレンドやニーズが見えてきます。
また、ターゲットとする層が日常的にどのSNSを使い、どのような投稿に興味を示しているかも把握しておくと、今後の方向性が明確になります。
調査結果をもとに、自社に合ったブランディング方法を設計しましょう。
2. 自社の立ち位置を明確にする
市場や競合の状況を踏まえて、自社がどのポジションで差別化を図るかを明確にすることが大切です。
たとえば、「初心者に優しいサービスを提供するブランド」「専門知識に基づいた信頼性のある情報を発信する企業」など、明確な立ち位置を定めましょう。
自社のブランドポジションを明確にすることで、ブレのない発信が可能になります。
ターゲットとするユーザーの期待に応えながら、自社らしさを損なわない発信を行うことで、信頼と共感を得やすくなるでしょう。
3. ブランドコンセプトを定義する
ブランドコンセプトとは、「どんな人に、どのような価値を提供するか」を明確化した指針のことです。
たとえば、「働く女性に元気を届ける」「趣味を通じて仲間が集まる場所をつくる」といった具体的な方向性を定めることで、SNS上で発信すべき内容やトーンが明確になります。
また、社内外で認識を統一するためにも、ブランドの想い・価値観・使命を文書化しておくと役立ちます。一貫したイメージを築く土台になる重要なステップです。
4. ブランドアセットを制作する
ブランドアセットとは、ブランドを視覚的・感覚的に表現するための素材のことを指します。
具体的には、ロゴ、配色、フォント、写真のトーン、投稿テンプレートなどが該当します。
SNSでは投稿ごとに印象がバラつくとユーザーの記憶に残りにくいため、統一感のあるデザインを意識することが重要です。
テンプレート化された素材を用意しておくことで、担当者が変わっても品質が安定し、ブランドの世界観を継続的に保つことができます。
5. ブランディング戦略を実施する
準備が整ったら、実際の運用フェーズに入ります。
投稿内容やテーマはブランドコンセプトに基づき、統一された方向で展開することが求められます。たとえば、「信頼性」を打ち出すブランドであれば、丁寧な言葉遣いや詳しい解説付きの投稿が有効です。
また、ユーザーとのコミュニケーションも大切な要素です。コメントへの返信やストーリーズでのやりとりなどを通じて、ブランドに親しみを感じてもらえるよう心がけましょう。
6. 定期的にブランディング効果を検証する
SNSブランディングは一度構築して終わりではなく、効果検証と改善を繰り返すことが重要です。
フォロワー数の増減、投稿ごとのエンゲージメント率、保存・シェアの数など、具体的な指標をもとに振り返りを行いましょう。
数値だけでなく、ユーザーの反応やコメント内容から見えてくる印象の変化にも注目すると、より深い気づきが得られます。
検証結果を踏まえ、戦略を柔軟にアップデートしていくことが重要です。
SNSブランディングでよくある失敗例
SNSブランディングは、魅力的な世界観を築くことが重要ですが、やり方を誤ると逆効果になることもあります。以下では、特に多く見られる2つの失敗例を紹介します。
- 世界観を表現するあまりユーザーからの反応が薄まる
- 世界観に固執してUGCのシェアを避ける
ここでは、それぞれの失敗例について詳しく見ていきましょう。
世界観を表現するあまりユーザーからの反応が薄まる
ブランドの世界観を大切にするあまり、投稿内容が一方的になり、ユーザーとのコミュニケーションが希薄になるケースがあります。
たとえば、おしゃれな画像や抽象的なメッセージにこだわりすぎると、何を伝えたいのか分かりづらくなり、ユーザーの興味を引けなくなる可能性があります。
SNSでは「共感」や「参加」が重視されるため、見た目の美しさだけでなく、ユーザー目線のわかりやすさや実用性も意識することが大切です。
世界観に固執してUGCのシェアを避ける
UGC(ユーザー生成コンテンツ)とは、一般ユーザーが投稿したレビューや写真、動画などを指します。
本来、UGCは信頼性や共感を高める強力な材料となるのですが、「ブランドイメージと合わない」としてシェアを避けてしまう企業も少なくありません。
あまりにも理想の世界観に固執すると、ファンとの距離が広がり、参加意欲を失わせてしまうリスクがあります。
多少の“素人感”もブランドの魅力として受け入れる柔軟さが、SNS時代には求められるでしょう。
SNSブランディングの成功事例7選
ここからは、SNSブランディングの成功事例について解説します。
1. ブルーボトルジャパン|Instagram
ブルーボトルコーヒーの日本公式Instagramでは、白や青を基調とした目を惹くビジュアルを多く使い、ブランドの魅力を訴求しています。
投稿では、コーヒーに関する情報や知識、コーヒーの淹れ方やラテアートの技術などが紹介されています。
またブルーボトルの起源やコーヒー豆の選定、サステナビリティへの取り組みなど、ブランドのバックストーリーも綴られています。
フォロワーに対してブランドのアイデンティティや価値を伝え、共感を生む効果が期待できるでしょう。
下記の資料では、弊社が独自で運用しているInstagramアカウント「関東あでかけわんこ」、7ヶ月で1万フォロワー突破のノウハウを大公開しています。
- 自社アカウントのフォロワーが伸びない
- UGCをマーケティングに活用したい
- Instagram集客の施策を知りたい
- Instagram運用に役たつツールの利用法を知りたい
このようなお悩みをお持ちのSNS運用担当者様や広告代理店様は、ぜひ資料をダウンロードしてご参考ください。

2. 小島屋乳業製菓株式会社|Instagram
小島屋乳業製菓株式会社では、スマートシェアのInstagram運用代行を導入し、数ヶ月でフォロワー2,000人以上増加させることに成功しました。
以前は商品の写真をそのままSNSに投稿することが多かったですが、商品の写真を加工してインパクトのある見出しを追加。視覚的に魅力あるコンテンツを作り出すことで、ユーザーの関心を引いています。
参照:【小島屋乳業製菓株式会社】Instagramアカウント運用開始後、3ヶ月でフォロワー1,000人以上増加
また、製造現場のリール動画を投稿することで、ユーザーが商品とブランドに対する愛着が高まり、ファン化を狙っています。
商品の紹介文をわかりやすくデザインすることで、ブランドのメッセージが明確に伝わり、ユーザーの関心を引きやすくなります。
Instagramアカウントの運用代行サービスについては、以下のページからぜひチェックしてみてください。

3. ホテル椿山荘東京|X(旧Twitter)
ホテル椿山荘東京の公式X(旧Twitter)では、記念日を過ごすならあなたはどっち?キャンペーン」と称した投票キャンペーンを実施しました。
アカウントをフォローの上、記念日にしたい過ごし方の画像をタップし、RTすると投票が完了するというもの。投票数が多かった方に投票した人の中から、5組10名にディナー券がプレゼントされます。
参照:【ホテル椿山荘東京】#記念日なんだし椿山荘
「憧れの場所でお泊まり」「贅沢にお食事」のいずれかに投票してもらうことで、ユーザーに実際に体験したシーンをイメージしてもらいやすくなります。
ホテル椿山荘東京の認知度向上や集客、SNSのファン獲得・育成などの効果があり、「特別な日に利用してもらう」といったブランディングにもつながっています。
4. SHARP シャープ株式会社|X(旧Twitter)
日本の電気機器メーカー「SHARP」の公式X(旧Twitter)では、新製品や最新技術に関する情報が積極的に発信されています。
フォロワーとのコミュニケーションを重視しており、X(旧Twitter)を通じて積極的にユーザーとの交流を図っていることが特徴です。
また定期的にイベントやキャンペーンも実施されており、フォロワーとの関係性を深め、ブランドへの関心や拡散力を高める効果が期待できるでしょう。
5. ザバス|X(旧Twitter)
プロテインブランド「ザバス」公式Xアカウントでは、新商品やお得なキャンペーン情報、イベント情報などを発信しています。
ザバス×映画「キングダム 大将軍の帰還」コラボキャンペーンとして、ザバスやQUPカード入りスペシャルBOXが100名に当たるキャンペーンを実施しました。
応募方法はフォロー&リポストとシンプルで、さらに3名には有名俳優の直筆サイン入り公式ポスターを特別同梱するといったファンに嬉しいプレゼントも。
コラボキャンペーンは、映画ファンをターゲットにしたマーケティング戦略として非常に効果的であり、ザバスのプロテインをまだ知らない層にリーチを広げられます。
新しい市場へのアプローチと既存ユーザーとの関係強化により、ブランドの価値を高められる効果があります。
下記の資料では、X(旧Twitter)企業アカウントの運用で知るべきコツを54ページでしっかり解説しています。
- 企業公式アカウントの運用における始め方と注意点が分からない
- 運用効果を測定したいがフォロワー数以外のKPIが分からない
- 投稿が見てほしいターゲット層に届かない
- 興味を持ってもらえるプロフィールを作りたい
このようなお悩みを解決するヒントをお伝えします。ぜひ資料をダウンロードしてご活用ください。

しまむら|TikTok
ファストファッションブランド「しまむら」では、若者を中心としたターゲットに向けた動画コンテンツを発信していることが特徴です。
新商品や人気商品をTikTokを通じて紹介し、独自のスタイリングやコーディネートのアイデアを提案したり、ユーザーを巻き込んだ企画を展開しています。
@shimamura_gr 税込2,500円以下で買える大人女子バッグ4選!どのバッグが欲しい? #しまむら#しまむら購入品#しまパト#バッグ#バッグ紹介#プチプラバッグ ※売り切れの際は、ご容赦下さい ※各店舗の営業状況につきましては、しまむらHP「店舗検索」からご確認ください <チェックポコポコトートバッグ> 品番:344-1164 価格:2,420円(税込) <レザー風巾着> 品番:346-2713 価格:1,639円(税込) <撥水2wayバッグ> 品番:343-1941 価格:2,420円(税込) <ハーフムーンショルダーバッグ> 品番:346-0423 価格:1,419円(税込)
♬ love maybe nightcore - kpop speed up songs
TikTokは10~20代のユーザーが多いため、クリエイティブなコンテンツやフォロワーとのコミュニケーションを通じて、若者向けのブランディングに成功しています。
OWNLYでは、各SNSの特徴に最適なプロモーション動画と話題性を生み出すクリエイター動画の制作から、広告配信などの二次利用までワンストップでサポートします。
SNS集客の効果を最大化するショート動画制作代行については、以下のページを詳しくチェックしてみてください。

6. スクウェア・エニックス|YouTube

ゲーム開発および出版会社「スクウェア・エニックス」の公式YouTubeでは、新作ゲームのトレーラーやプレイ映像の公開をしています。
ゲームファンに対して最新情報を発信して興味を惹き、インタビューや舞台裏の公開によってファンとのつながりを深めています。
また、ライブ配信を通じてリアルタイムで最新情報を発表したりと、ファンとのエンゲージメントを高めていることも特徴です。
SNSブランディングを成功させるコツ7選
SNSブランディングを成功させるコツは下記の5つがあります。
- 明確なコンセプトを設定する
- 投稿内容に一貫性を持たせる
- 適切なプラットフォームを選定する
- キャンペーンを実施する
- 積極的にコミュニケーションを図る
- インフルエンサーを起用する
- 企業の代表が自ら発信する
ここからは、それぞれのコツについて解説します。
1. 明確なコンセプトを設定する
SNSブランディングを成功させるためには、明確なコンセプトを設定することが重要です。ブランドのアイデンティティや伝えたいメッセージを明確にし、SNS運用の方向性を明確にしましょう。
コンセプトを明確にすることで、ブランドの統一性や一貫性が生まれ、フォロワーに強い印象を与えます。
たとえば、アウトドアブランドならば自然との共感や冒険心をコンセプトにし、自然の美しさやアウトドアの魅力を伝える投稿を行うといいでしょう。
コンセプトに合わせたコンテンツ戦略を展開し、目指すイメージを明確にすることで、ブランドの特徴や価値をフォロワーに伝えることができます。
2. 投稿内容に一貫性を持たせる
SNS上で投稿する際は、ブランドイメージや価値観を反映する必要があります。一貫性のある投稿を行うことで、フォロワーがブランドの個性や魅力を認識しやすくなるでしょう。
たとえば、ライフスタイルブランドならば、健康やバランスの重要性をテーマにした投稿を一貫して行う運営方法があります。
食事のアイデアやフィットネスのヒントなど、健康的なライフスタイルを促進するコンテンツを提供します。
SNSブランディングを成功させるには、一貫したテーマやトーンを持ち、ブランドメッセージを明確に伝えることが大切です。
3. 適切なプラットフォームを選定する
SNSブランディングでは、ターゲットのニーズや好みを把握し、適切なSNSを選ぶことも重要です。
ターゲットが利用している主要なSNSを調査し、その中で最も適切なものを選びましょう。たとえば、ビジュアルコンテンツが重要な場合はInstagram、拡散力を重視したい場合はX(旧Twitter)を利用します。
各SNSの特性や特徴に合わせてコンテンツを最適化し、効果的なコミュニケーションを図ることが重要です。
もし、「自社の施策に自社のマーケティングをどのプラットフォーム上で行うべきか」とお悩みの方は、ぜひ下記の資料をご参考ください。
- X(旧Twitter)/Instagram/TikTok/LINEなどの様々なSNSの強みや特徴
- 各SNSの利用層の詳細
- 各SNSに最適なキャンペーン施策の詳細

4. キャンペーンを実施する
SNS上でのキャンペーンは、フォロワーの参加や関与を促し、ブランドの認知度やエンゲージメントを向上させるのに効果的です。
キャンペーンはSNS上での話題性を生み出し、フォロワーの拡散力を活用できる魅力的なマーケティング手法のひとつです。
たとえば、フォロワーからの投稿やシェアを募集するフォトコンテストを開催したり、特別なプレゼントを提供したりする方法があります。
■関連記事
【最新】SNSキャンペーンの成功事例20選|効果や成功のポイントを解説
5. 積極的にコミュニケーションを図る
成功するSNSブランディングには、積極的なコミュニケーションが欠かせません。
フォロワーとのコミュニケーションは、ブランドの信頼性と忠誠心を高めるために重要です。フォロワーからのコメントやメッセージに迅速かつ丁寧に対応し、コミュニケーションを通じて関係性を築きましょう。
定期的に投稿に対する反応やフィードバックを確認し、フォロワーとの交流を活発に行うことで、より深い関係を築けます。
6. インフルエンサーを起用する
インフルエンサーとは、SNS上で影響力を持つ人物のことを指します。
特定のジャンルやライフスタイルに共感するフォロワーを多数抱えており、企業の商品やサービスを紹介してもらうことで、信頼性や認知度を一気に高めることが可能です。
特にフォロワーとの関係性が濃い「マイクロインフルエンサー」は、企業の想いや魅力をより自然な形で伝えてくれる存在として注目されています。
インフルエンサーを選ぶ際は、フォロワー数だけでなく、投稿の雰囲気や価値観が自社のブランドと一致しているかを重視しましょう。
投稿内容がブランドと乖離していると、逆効果になる可能性もあります。起用後は一方的な依頼に終始せず、双方でコンセプトをすり合わせながら、信頼性の高い発信を行うことが大切です。
7. 企業の代表が自ら発信する
SNSブランディングを強化するうえで、企業の代表者自身が顔を出して発信することは非常に効果的です。
代表が登場することで、ブランドに「人間味」や「信頼感」が加わり、ユーザーとの心理的距離がぐっと縮まるでしょう。
近年は、トップが自ら動画やライブ配信を通じて会社の想いや取り組みを語る事例も増えています。
特に中小企業やスタートアップにおいては、創業者の人柄や価値観がブランドの中核をなすため、代表の言葉がそのままブランドイメージの構築に直結します。
また、トレンドへの反応や失言への対応をスピーディに行うことで、企業としての姿勢を明確に伝えられる点も強みです。
代表による信頼を積み上げる継続的な発信が、結果として企業全体の価値を高めるブランディングへとつながるでしょう。
SNSブランディングにおける注意点
SNSブランディングのための戦略を検討する際は、以下の点に十分注意しましょう。
- 批判的な内容を避ける
- フォロワーを購入しない
- ニーズに満たさない発信をしない
それぞれの注意点について詳しく解説します。
批判的な内容を避ける
SNS上で批判的な内容を投稿することは、フォロワーとの信頼関係や企業としての信頼を損なう可能性があります。
ネガティブな意見や攻撃的なコメントは、他のユーザーに悪印象を与え、ブランドイメージを傷つけることになりかねません。
ポジティブな内容やコミュニケーションを心がけることで、フォロワーとの良好な関係を維持し、ブランドの信頼性や好感度を高めることができます。
フォロワーを購入しない
フォロワーを購入することは一見、簡単にフォロワー数を増やす方法のように思えますが、実際には逆効果です。
購入したフォロワーは、アクティブではなくエンゲージメント率が低いため、投稿がほとんど見られないことになります。
自然な方法でフォロワーを増やすことで、しっかり企業のファンにつながるファンを獲得しつつ、ブランドの信頼性を高めることができます。
二ーズに満たさない発信をしない
SNSブランディングでは、フォロワーのニーズや関心に応えるコンテンツを提供することが重要です。
フォロワーが求めている情報や価値を提供しないと、エンゲージメントが低下し、フォロワー数の減少につながる可能性があります。
常にターゲット層のトレンドやコメントなどをチェックし、興味を引くコンテンツを作成するよう心がけましょう。
フォロワーの期待に応えることで、ブランドの信頼性とエンゲージメントを維持することができます。
SNSブランディングに関するおすすめの本・書籍
SNSブランディングを成功させるには、発信の工夫だけでなく、仕組みや背景を理解することも大切です。
ここでは、具体的な実践方法から、ブランドの考え方まで学べるおすすめ書籍を3冊紹介します。
僕らはSNSでモノを買う

SNS時代の購買行動を「ULSSAS(ウルサス)」という新しいプロセスで解説した一冊です。
UGC(ユーザー生成コンテンツ)から始まり、いいね・検索・閲覧・購入・拡散という流れで消費者が商品にたどり着く仕組みを、実例と会話形式でわかりやすく紹介しています。
小手先のテクニックではなく、本質的に「良いものを届ける」ことの大切さを伝えており、SNSマーケティング初心者にも安心して読める内容です。
美しく「バズる」技術

SNSで「バズる」ことを目的にするのではなく、ビジネスの成果につなげるためにどう活用するかを解説した一冊です。
著者は個人・企業の運用支援を多数経験しており、再現性の高いノウハウをベースにした実践的な戦略が紹介されています。
YouTubeやXなど複数のSNSでバズを生み出した実例をもとに、目的別にアプローチを変える必要性や、フォロワーを増やすだけでは終わらないSNS設計の重要性が語られています。
ブランディングの教科書

感覚的に語られがちな「ブランディング」を、戦略と論理の両面から明快に解きほぐした一冊です。
外資系コンサルティングファームや広告会社で培われた実務ベースの知見をもとに、マーケティング領域に特化してブランディングを体系的に解説しています。
ブランドの本質や役割を丁寧に言語化しているため、表面的な施策に終始せず、再現性のある設計を目指す企業担当者に特におすすめです。
SNSブランディングを活用してブランドの魅力を発信しよう
SNSブランディングを実施することで、多くのユーザーにブランドの魅力や価値を伝えることができ、競合他社との差別化につながります。
また丁寧かつ迅速なコミュニケーションを通じて、ユーザーとの関係性が深まり、ブランドロイヤリティの向上を図れます。
この記事で紹介した成功事例やコツを参考に、自社に適したSNSを選定しつつ、SNSブランディングへの取り組みを進めていきましょう。
