米国を中心に注目が広がり、今後は日本でも増えていくことが予想されるリテールメディア。耳にしたことはあるものの、詳しくは知らないという方も多いでしょう。
「リテールメディアは具体的にどういうもの?」「取り組むメリットや流れを知りたい」とお考えの方もいるのではないでしょうか。
本記事では、リテールメディアに取り組むメリットや種類、リテールメディアの事例や取り組む際の流れについて解説するので、ぜひ参考にしてください。
リテールメディアとは
リテールメディアとは、小売店が提供する広告媒体のことで、ECサイトや専用アプリのオンライン広告、店舗のサイネージ広告などが含まれます。
顧客の購買データやアプリのログなど、小売店が持つ顧客データを用いることで、精密なターゲティングを行えることが強みです。
広告主であるメーカーやブランドは、小売店が運営するメディアに広告出稿します。
メーカーは顧客データにもとづいて精度の高い広告配信を行うことが可能で、小売店はメーカーと共同で販促を行いながら広告収益を得る仕組みです。
リテールメディアに取り組むことで、来店客が購入直前に広告を目にするようになり、購買に大きく影響を与えます。そのため、購買に直結する重要な広告手法として期待されています。
リテールメディアに取り組むメリット
リテールメディアに取り組むことで、広告主や小売店、消費者の3者それぞれにメリットがあります。ここでは、リテールメディアに取り組むメリットを見ていきましょう。
メーカー・ブランド・広告主のメリット
リテールメディアを導入することで、メーカーやブランドなどの広告主は、小売店が保有する1st Partyデータを活用できる点がメリットのひとつです。
来店データや顧客の店内行動、購買履歴などの一次データを利用することで、より高精度なターゲティングが可能となります。
さらに、1st Partyデータを活用し小売業者と販促活動を行えば、販売の現場で効果検証を行うことができます。
より現実的な課題や仮説にもとづいた施策を実施し、PDCAを回すことで広告戦略の改善につながるでしょう。
小売・流通・EC事業者のメリット
精度の高いターゲティングによって、顧客ニーズに合った広告やクーポンをタイムリーに配信できるようになることで、購買促進につながる点が小売店のメリットです。
1st Partyデータは小売業者が自ら収集したデータなので、収集方法や場所が明確な分、信頼性が高いと言えるでしょう。
こうした一次データを活用し、個別の顧客に最適化された情報や広告を届けられるため、購買意欲の促進・顧客ロイヤリティ向上へとつなげられます。
実店舗だけでなくWebサイトやアプリを通じてパーソナライズされた広告やクーポンを配信すれば、幅広い顧客の来店・購買促進を狙えるでしょう。
また、広告配信によって、メーカーやブランドなどから広告収入も得られるのも強みです。
消費者のメリット
商品の販売や顧客の行動データにもとづいて広告を配信することで、顧客は最適なタイミングで商品の情報を入手することができます。
たとえば、栄養食品やサプリメントなどの健康商品は、定期的な購入が必要ですが、つい購入を忘れてしまうこともあるでしょう。
そこで、最適なタイミングで商品情報や特別な割引クーポンを提供することで、顧客は購入のタイミングを逃さず、お得に商品を入手することができます。
消費者にとって、興味関心に合った情報を取得できることは大きなメリットです。
オンラインやオフラインの両方の媒体を通じて、必要な情報を最適なタイミングで受け取れるようになれば、顧客の利便性や購買体験を向上させられるでしょう。
リテールメディアの種類
リテールメディアの種類は大きく分けて「オンライン媒体」と「オフライン媒体」の2種類に分かれます。代表的な媒体は以下のとおりです。
- ECサイト
- アプリ広告
- 店頭POP
- デジタルサイネージ
ここでは、各媒体の特徴について解説します。
ECサイト
小売事業者がECサイトを運営している場合は、ECサイト内のバナーや、商品を検索した検索結果画面としてメーカーの関連商品を広告として表示できます。
メーカーにとっては商品の認知拡大や購入促進につながり、顧客は新たな商品の発見につながるでしょう。
ECサイトを運営する小売事業者は、広告収入を得られるため、新たな収入源を確保できるというメリットがあります。
アプリ広告
小売事業者がアプリを保有している場合は、会員登録情報やアプリ内の行動履歴などを収集し、1st Partyデータとして活用することができます。
データにもとづいてターゲティングを行い、アプリから広告を配信すれば、ターゲットに効率良く最適な情報を届けられるでしょう。
また、利用者の位置情報を取得し、来店中の顧客にプッシュ通知を送れる機能などもあり、実店舗ならではのタッチポイントを持つこともできます。
店頭POP
メーカーとリテール企業が販促計画を立てて、デジタル広告と連動した店頭POPを設置することも効果的です。
たとえば、スーパーで新商品を宣伝したい場合は、ECサイトやSNSで配信した宣伝内容とスーパーのPOPデザインを一致させます。
そうすれば、オンライン広告を見て訪れた顧客に「この商品がおすすめされている」と認識してもらいやすくなるでしょう。
オンライン広告から店頭POPまで統一した広告配信を行うことによって、宣伝したい商品の訴求力を高めることができます。
デジタルサイネージ
リテールメディアに取り組むうえで、店頭に設置するデジタルサイネージは重要な役割を担います。デジタルサイネージは、紙のチラシやPOPでは表現できない形で訴求できるため、顧客の記憶に残りやすいことが強みです。
また、曜日や時間帯に合わせて配信内容を変更できるため、利用する顧客層に合わせて最適な情報を提供することができます。
また、デジタル広告と連動させれば、店頭でのリマインドとなり、商品の想起性が高まるため、購入を後押しできるでしょう。
リテールメディアに取り組む流れ|5ステップ
リテールメディアは、以下の5ステップで取り組んでいきます。
- ターゲットを明確にする
- 媒体を決める
- オンラインでPRを実施する
- 店頭でPRを実施する
- PDCAサイクルを回す
ここでは、それぞれの流れについて見ていきましょう。
1. ターゲットを明確にする
リテールメディアに取り組む際は、まずはターゲットを明確にします。
店舗やECサイトに訪れる顧客層を分析したうえで、購買意欲の高いユーザー層を絞り込みましょう。
性別や年齢、地域などの基本情報や顧客行動などにもとづいて分析し、詳細なターゲット層を定めることが大切です。
ターゲットを策定するときは、「ペルソナ」を策定するのもいいでしょう。ペルソナを決めるときは、ターゲットとなる人物像の家族構成や趣味、休日の過ごし方などを深掘りして、顧客のニーズやほしい情報などの理解を深めます。
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2. 媒体を決める
次に、リテールが保有する媒体のうち、どの媒体で広告配信するかを選定しましょう。
代表的な媒体としては、ECサイトやアプリ広告、SNS広告、デジタルサイネージ、店頭POPなどが該当します。
「どの媒体で広告を配信したいか」という観点ではなく、ECサイトやアプリの利用者層、店頭に訪れる顧客のデータを収集することが大切です。
詳細なデータにもとづいて、最適なリテールメディアの媒体を決定します。
3. オンラインでPRを実施する
媒体が決まったら、オンライン媒体で広告を配信しプロモーションを実施します。ECサイトやアプリなどを使って商品やサービスの宣伝を行いましょう。
リテールが保有する1st Partyデータにもとづいて、クーポン配信やセグメント配信を行い、購入や来店を促すためのPRを実施します。
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4. 店頭でPRを実施する
オンラインのプロモーションと連動する形で、店頭プロモーションも実施します。
たとえば、店内のデジタルサイネージにデジタル広告と同じ広告を流したり、店舗に訪れたタイミングでアプリにクーポンを送付したりする方法などです。
また、目に留まりやすい店頭POPを使い、集中的なプロモーションを行うことで、購入の後押しにつながるでしょう。
5. PDCAサイクルを回す
リテールメディアは、プロモーションを実施して終わりではありません。効果を最大限に発揮するためにも、PDCAを回して改善することを心がけましょう。
リテールのデータをもとに効果検証・分析を行います。たとえば、アプリのプッシュ通知を送信した顧客のうち、「クリックした数」や「購入に至った数」などを分析します。
成果が低かった場合は、具体的にどこのフェーズで問題が発生しているのか仮説を立てて対策することで、改善につなげられるでしょう。
まとめ
リテールメディアは、顧客の行動パターンや嗜好にもとづいて、最適な情報を最適なタイミングで提供する広告メディアです。
リテールメディアの重要性は、今後も高まると予想されます。リテールメディアの取り組みを進めて成功に導くためには、オンラインとオフラインを連携した一貫性のある訴求が大切です。また、常に「顧客体験の向上」という視点も忘れてはいけません。
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