近年注目されている手法として「動画マーケティング」があります。従来はテレビCMなどで行われていましたが、莫大なコストがかかるため活用できる企業はそう多くありませんでした。
しかし近年ではスマホやPCの普及により、SNSを中心としてさまざまなプラットフォームで誰でも気軽に動画を活用できる時代となりました。
当記事では、動画マーケティングを実施するメリットや、具体的な施策、成功事例について解説します。動画を活用したマーケティングを検討している方は、ぜひ参考にしてください。
目次
動画マーケティングとは
動画マーケティングは、映像やアニメーションなどの動画コンテンツを活用した集客・宣伝・販売戦略のことです。
自社サイトやSNSなどの動画プラットフォームで動画を公開したり、デジタルサイネージや展示会などの場で動画で紹介したりと、さまざまな活用方法があります。
また動画を公開して終わりではなく、より効果的に活用するための戦略立てや分析も欠かせません。戦略立案・動画制作・分析などすべて含めて「動画マーケティング」です。
動画マーケティング市場の動向
近年はPCやスマートフォンが世界的に普及し、日常的に動画コンテンツを視聴するようになりました。SNSや動画プラットフォームを中心に、動画コンテンツは急速に広がっています。
2019年12月にサイバーエージェントが発表した「2019年国内動画広告の市場調査」によると、2023年には動画広告市場が5,065億円にまで上る見込みです。
このように動画広告はすでに急速な広がりを見せており、今後もより拡大していくことが予想されます。
動画マーケティングのメリット5つ
動画マーケティングを導入するメリットはおもに5つあります。
1. 認知度向上を図れる
2. 興味関心・理解を促進できる
3. ブランディングにつながる
4. 購買促進・売上拡大につながる
5. 顧客満足度の改善に取り組める
ここでは、それぞれのメリットについて解説します。
1. 認知度向上を図れる
動画は、テキストや画像に比べて短時間でより多くの情報を伝えることができます。たとえば、1分間の動画の場合は、文字にして約180万ワード、Webページにして3,600枚分もの情報量を詰め込めると言われています。
たとえ数秒程度の短尺動画であっても、動画内で工夫を凝らすことで、商品やサービスを印象深く残せるのが動画の強みです。そのため、動画マーケティングは商品やサービスの認知度向上に最適といえるでしょう。
2. 興味関心・理解を促進できる
動画は、商品やサービスを認知して興味を持った人に対して、興味関心や理解を促進できます。文字や写真だけでは伝えきれなかった細かなニュアンスも、視覚的に伝えられるのが特徴です。
たとえば、商品の紹介やレビューなどを動画で公開することで、詳しい商品の仕様や魅力を伝えられます。実際にユーザーが迷ったとき、動画で理解を深めることによってより判断しやすくなるでしょう。
3. ブランディングにつながる
動画はさまざまな表現ができ、ブランドのイメージやカラーを伝えるのに最適です。商品やサービスのブランディング、社内外に向けた企業ブランディングなど、さまざまな施策に活用できます。
とくに文字や言葉では伝わりにくいストーリーや、感情に訴えかけるコンテンツを作りたい場合は、動画のほうが圧倒的に伝わりやすく、心を動かしやすいと言えます。
4. 購買促進・売上拡大につながる
動画マーケティングを上手く活用することで、購買促進や売上拡大につながる点もメリットのひとつです。
Amazonや楽天などのECサイト上の商品ページでは、商品に関する動画が掲載されていることがあります。ECサイトに限らず、アフィリエイト商材のLPやBtoBサービスのLPなど、さまざまなジャンルで活用されています。
動画には購買を促す効果があり、コンバージョンを後押しするコンテンツとして活用されているのです。
また、InstagramやTikTokなどのSNSにおいて、動画で商品紹介をしてECサイトに遷移させるケースも増えてきました。
5. 顧客満足度の向上に取り組める
購入後のユーザーに向けて、商品の使い方や活用テクニックなどを公開することで、顧客満足度の向上が期待できることもメリットのひとつです。
ユーザーが商品やサービスを使いこなせるように、動画を通じて使用マニュアルや活用方法などを発信すると、顧客満足度の向上が期待できます。
動画を通じてユーザーと継続的にユーザーとコミュニケーションを取ることで、リピーター獲得にもつながるでしょう。
動画マーケティングの手法・活用方法
動画マーケティングにはさまざまな手法があります。自社が活用したいフェーズや状況に合わせて、適切な手法を選んで活用しましょう。
- 動画広告を出稿する
- 自社SNSで発信する
- WebサイトやLPに埋め込む
- オフラインで広告出稿する
- インフルエンサーを活用する
ここでは、それぞれの活用方法について順に解説します。
動画広告を出稿する
認知度向上を目的とする場合は、動画広告の出稿が有効です。動画広告は、おもにTwitter、Instagram、YouTubeなどのSNS上で配信されています。
SNSでは、ユーザーの年齢や性別、興味関心にあわせて広告配信できるので、顕在層だけでなく、滞在層にアプローチできることが特徴です。
それぞれのプラットフォームによって、ユーザー層や視聴態度、適切な尺などは異なるので、各SNSの特徴を知ったうえで配信先を選ぶ必要があります。
自社SNSで発信する
YouTube、TikTok、Instagramなどの自社SNSで動画を活用するのも効果的です。最近では、YouTubeチャンネルで情報発信をしている企業もよく見られます。
SNSは拡散力が高いので、一度投稿をバズらせることができれば、広告費をほとんどかけることなく多くの人にコンテンツを届けることができます。
広告としてだけでなく、企業がSNS運用をするなかで動画が活用されるケースも増えています。
WebサイトやLPに埋め込む
企業のホームページやLPなどのWebサイト上に動画を埋め込む手法もあります。興味関心を高めたいときや、購買を促したいときに効果的です。
たとえば、商品やサービスの使い方や活用方法を取り上げたり、企業の雰囲気や先輩の声を紹介する採用動画に活用したりと、幅広く活用できます。
すでにある程度の興味を持っている人に対するコンテンツなので、広告用コンテンツのように拡散性や動画のテンポを重視する必要はありません。いかにユーザーが求める情報を届けられるかが重要となります。
オフラインで広告出稿する
多くの目に触れる媒体として、電車やタクシー内で流れるオフラインの動画広告があります。これらの交通広告は、ビジネスマン層にリーチしやすくBtoB商材の広告に向いています。
また電子看板である「デジタルサイネージ」も視認性が高く、多くの人の目に触れやすいことが特徴です。パンフレットやポスターにQRコードを記載して、読み込むことで動画を視聴できるといった工夫も生まれています。
インフルエンサーを活用する
インフルエンサーを起用したプロモーション動画は、マーケティングにおいて効果的な手法のひとつです。おもにYouTubeやTikTokなどの動画プラットフォームで発信されるので、多くの人にリーチしやすいメリットがあります。
SNSの視聴者は露骨なプロモーション動画を嫌うため、企画には工夫が必要となります。うまく活用することで、認知拡大やCV率向上に大きく貢献してもらえるでしょう。
動画マーケティングの成功事例3選
ここからは、企業が実施した動画マーケティングの成功事例を3つ紹介します。
サクッと学べるPhotoshop|Adobe
Adobe公式YouTubeが配信する「How To」動画の事例です。
Adobeは月額課金制でツールを提供しているものの、初心者には難しく、使いこなせないまま解約してしまう懸念がありました。
そこで動画マニュアルを作成して、実際に見ながら手を動かしてもらうことで、ユーザーが理解しやすくなり、満足度を向上させて継続利用につなげています。
サラリーマン向けタクシー広告|Video Brain
BtoBサービス「Video Brain」のタクシー広告事例です。
ビジネスマンが乗車することの多いタクシー内で配信することで、ターゲット層を絞って認知度向上に貢献。またタクシーであれば、その場で検索してサイトを閲覧する流れも期待できます。
さらにタクシー広告は音声が流れないことが多いので、すべてのセリフに字幕をつけて見やすいよう工夫されていることも特徴です。
参加したくなるGIF動画の活用|森永乳業
森永乳業株式会社が運用する「pino(ピノ)/森永乳業」では、GIF動画を活用したオーガニック投稿を実施。
クリスマスには「GIF動画をタップして煙突にピノを入れる」といったゲーム性のあるGIF動画を投稿。思わずユーザーが参加したくなるような工夫が施されており、多くのエンゲージメントを獲得しました。
動画をうまく活用することで、親近感の醸成やブランディングに成功しています。
動画マーケティングの戦略で重要な効果測定
動画マーケティングを行う際に、効果測定をきちんと行うことで、成功点や反省点を分析でき、次回の計画づくりに役立ちます。
制作した動画コンテンツでどれだけの効果を得られたのか、PDCAを回すことで数値化して、より効率的な動画マーケティングを行うことが可能になります。
動画マーケティングの効果測定は、目的別に測定すべき指標が異なります。
ブランド訴求が目的の場合
動画を閲覧したユーザーが、動画ページに対してアクションを起こしたかを数値化して効果を測定します。効果測定指標は、Facebookならシェア数や「いいね!」数、Twitterならリツイート数ということになります。
課題解決が目的の場合
どれだけのユーザーが検索流入によって辿り着いたかを表す検索流入数が効果測定指標になります。この指標を上げるためには、ユーザーにどれだけ適切なコンテンツを提供できているかどうかがポイントです。
リピーターを増やすことが目的の場合
効果測定指標はリピーターユーザー数、すなわち各SNSのファン数になります。Facebookページなら「いいね!」の数、Twitterならフォロワー数、YouTubeならチャンネル登録数を指標にします。
優良コンテンツを提供することが目的の場合
効果測定指標は動画の視聴完了率になります。視聴完了数とは、ユーザーが優良な動画と判断したかの指標であり、途中で視聴をやめなかったユーザーがどれだけいるかを表す数字でもあります。
商品購入・申込みを目的とする場合
一番の効果測定指標はコンバージョン率そのものになります。商品購入や申込みの獲得を狙っているため、他の指標が高くても肝心のコンバージョン率が低ければ意味がありません。
動画マーケティングまとめ
動画は視認性が高く、自社商品やブランドの情報を印象深く残せます。わかりやすさやエンタメ性など他の手法にはない利点があり、工夫次第で非常に効果的なマーケティングが行えるでしょう。
とくに、SNSと動画マーケティングは相性が良く、個人から企業まで気軽に始めやすいのでおすすめです。SNSの拡散力を活かしつつ、効果測定をしながら動画マーケティングを成功へと導きましょう。