近年、X(旧Twitter)の仕様変更や利用者層の変化を受け、新たなSNSプラットフォームへの関心が高まっています。その中で注目を集めているのが、分散型SNSの「Bluesky(ブルースカイ)」です。
「Bluesky(ブルースカイ)とはどんなSNS?」「Xに代わる選択肢としてBlueskyを導入すべきか」と悩むSNS運用担当者も多いのではないでしょうか?
本記事では、Blueskyの特徴、実際の企業活用事例を交えながら、新たなSNSとしての可能性や活用方法について解説するので、ぜひ参考にしてください。
Bluesky(ブルースカイ)とは
Bluesky(ブルースカイ)は、X(旧Twitter)の共同創業者であるジャック・ドーシー氏が2019年に構想した新しいSNSです。2024年12月時点で利用者数は2400万人を超え、世界的に注目を集めています。
操作感はXに近く、テキストを主体としたコミュニケーションが可能です。ただし、運営の仕組みが大きく異なります。
Xが中央集権型と呼ばれる1つの組織による管理体制を取っているのに対し、Blueskyは「分散型SNS」として、多くの個人やグループが運営に関わっています。
また、2021年のベータ版では招待コードが必要でしたが、2024年2月6日に招待制が廃止され、現在では誰でも簡単に登録できるようになりました。
参考:Bluesky CEOがユーザー数2,400万人達成を報告、「改悪化」の防止に努める
Bluesky(ブルースカイ)とX(旧Twitter)の違い
BlueskyとXは、テキスト中心の投稿や画像の添付、いいね・コメント・リポストといった基本機能が似ています。
そのため、Xを利用していた経験がある人にとっては、直感的に操作しやすいSNSといえるでしょう。
以下は、BlueskyとX(旧Twitter)にはどのような違いがあるのかをまとめた表です。
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Bluesky
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X(Twitter)
※無料プランの場合
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SNSの特徴
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分散型
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中央集権型
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文字数
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500文字
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140文字
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画像
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4枚
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4枚
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動画
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×
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○
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広告
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表示されない
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表示される
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予約投稿機能
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なし
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あり(PC版のみ)
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アカウントの公開設定
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×
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公開または非公開
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タイムライン
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自由にカスタマイズ
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フォロー中またはおすすめ
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また、BlueskyにはXにはない特徴や、反対にXにあってBlueskyにない機能もいくつか存在します。たとえば、Xが充実した広告機能や分析ツールを提供しているのに対し、Blueskyは広告表示がないのが特徴です。
Blueskyはまだ発展途上のSNSであり、今後のアップデートで新たな機能が追加されたり、仕様が変更されたりする可能性もあるでしょう。
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Bluesky(ブルースカイ)の特徴
Blueskyの特徴として、下記が挙げられます。
- 分散型SNSである
- 広告が表示されない
- AI検出サービスを利用している
- 自分好みのフィードをカスタムできる
ここでは、それぞれの特徴について解説します。
分散型SNSである
Blueskyの最大の特徴は「分散型SNS」である点です。
分散型SNSとは、複数のユーザーやグループが独自にサーバーを運営し、データを共有できる仕組みを指します。
この仕組みにより、特定の企業に依存せず、機能制限や仕様変更の影響を受けにくくなっています。
また、万が一運営が停止しても、データを保持したまま他のSNSに移行できるのも大きな利点です。
広告が表示されない
2024年5月時点で、Blueskyには一切広告が表示されていません。
多くのSNSでは広告が収益源となり、ユーザーのデータが広告ターゲティングに利用されていますが、Blueskyではユーザー体験を最優先にしており、広告に頼らない方針を掲げています。
CEOのジェイ・グレイバー氏は、広告ばかりのSNSになることを避けたいと述べており、今後はサブスクリプションサービスの実装を検討しているようです。
AI検出サービスを利用している
Blueskyは、ディープフェイク対策の一環として「画像ラベリングサービス」などのAI検出サービスを導入しています。
ディープフェイクとは、生成AIによって本来とは異なる顔や映像を合成する技術のことで、SNSやインターネット上で悪用されるケースも増えています。
Blueskyでは、このような不正コンテンツを防ぎ、安全な利用環境を提供することを目指しています。
自分好みのフィードをカスタムできる
Blueskyでは、ユーザーが自分好みのフィードを自由にカスタマイズできます。
ネットワーク上の投稿を収集し、自分が見たいコンテンツやフォローしたいアカウントに基づいて独自のフィードを作成可能です。
ただし、この機能を活用するにはプログラミングの知識が必要になる場合もあります。
Bluesky(ブルースカイ)の使い方
ここからは、Blueskyの使い方について解説します。
投稿
Blueskyの投稿操作は、初期のX(旧Twitter)に似ており、直感的に使えます。
主な機能は次のとおりです。
ポスト
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テキストや画像・動画等のコンテンツを投稿する機能
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リポスト
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他人のポストを自分のアカウントで拡散できる機能
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引用ポスト
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他のユーザーのポストに自分のコメントを添えて投稿できる機能
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フィード
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検索ワードを入力して特定の内容を絞り込んだポストを表示する機能
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DM機能
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メッセージを送受信する機能
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画像投稿は、最大4枚まで登録可能で、ALTテキストの追加やトリミング機能も用意されています。また、返信可能なユーザーを選択したり、投稿に警告を付けたりすることもできます。
交流
Blueskyでは、ユーザー同士の交流が投稿やコメントを通じて行われます。
公開されている投稿には返信やリポストが可能で、非公開アカウント機能は現時点で提供されていません。このため、誰でも他のユーザーの投稿を閲覧できる仕様となっています。
さらに、ダイレクトメッセージを活用すれば、他のユーザーと個別にやり取りすることもできます。分散型SNSならではのオープンな交流スタイルが特徴です。
その他
Blueskyでは、以下のような機能も利用可能です。
- さまざまなカスタムフィードを作成できる
- フィードに広告が表示されない
- リンクカードの挿入及びアプリ内再生
- 他ユーザーへのミュート、ブロック
- ユーザー名検索、キーワード検索
- ハッシュタグ機能
- 複数のアカウント作成
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現状では広告機能が実装されていませんが、今後のアップデートで変更される可能性もあります。
Bluesky(ブルースカイ)の企業アカウント事例5選
ここからは、Bluesky(ブルースカイ)の公式アカウントを運用している企業の事例を紹介します。
1. アイラップ公式
袋型ラップ「アイラップ」の公式アカウントは、約20万人以上のフォロワーを持ち、Bluesky内でも高い影響力を誇ります。
このアカウントでは、日常生活で役立つ情報やアイデアレシピ、災害時に活用できる商品の使い方など、実用性の高いコンテンツを積極的に発信しています。
利用者に寄り添った投稿が多く、多くのユーザーから支持を得ています。
2. セガ公式アカウント
セガの公式アカウントは、Blueskyの招待制が廃止された直後にアカウントを開設しました。2024年5月時点では1万人を超えるフォロワーを獲得しており、順調に影響力を拡大しています。
ゲームやイベント情報、関連グッズの告知に加え、セガ社内の様子などユニークな内容も発信しており、ファンとのつながりを深めています。
3. 新江ノ島水族館
新江ノ島水族館の公式アカウントでは、水族館内の様子や期間限定のイベントに関する情報を発信しています。
投稿を見たユーザーが水族館に訪れたくなるようなポストが特徴です。
4. 葬送のフリーレン 公式
葬送のフリーレン原作公式アカウントでは、漫画の更新情報やTVアニメの情報、オリジナルグッズ情報などが発信されています。
2025年1月時点でフォロワーは7.3万人超えと人気が高く、オリジナルグッズを使用したBlueskyならではの投稿がファンに注目されているようです。
5. ナガノ
「ちいかわ」などの大人気キャラクターを生み出したイラストレーター・ナガノ氏も、公式アカウントをBluesky上で開設しています。
X(旧Twitter)では公開されていない新作イラストが投稿されることもあり、ファンにとっては貴重なコンテンツが楽しめる場となっています。
さらに、Bluesky公式アカウントもナガノ氏の活動を応援しており、「Find your favorite artists on Bluesky 🦋(Blueskyでお気に入りのアーティストを見つけよう)」という投稿で紹介されています。
企業はBluesky(ブルースカイ)を活用するべき?
Blueskyの特徴を理解した上で、企業が活用すべきかどうか迷っている方も多いかもしれません。
まずは、Blueskyのアカウントを作成し、自社の情報発信に適しているかどうかを試してみましょう。本記事でも触れたように、他のSNSやマスメディアで既に影響力を持っているアカウントは、Blueskyでも多くのフォロワーを獲得している傾向があります。
ただし、Blueskyを始めただけで必ずしも成果が出るわけではありません。Bluesky独自のユーザー層や機能を活かした発信内容を工夫することで、より効果的な活用が期待できるでしょう。
Blueskyに限らず、SNS運用の成功には、アカウントの目的を明確にし、ターゲットとなるペルソナや戦略をしっかり設計することが重要です。
