「弊社の主なターゲット層は40代・50代くらいなので、SNSで発信するのが有効なのかどうか、悩んでいるんです」
マーケティングにSNS施策を取り入れるか否かで悩んでいる理由として、しばしばこんな疑問を耳にします。
SNSを使ったマーケティングが効果的なのは、若者向け商品限定なのでしょうか?
SNSは若者が利用するもの?
確かに「若者がSNSを利用している」「若者のコミュニケーションに変化が起きている」などとよく耳にします。SNSマーケティングは、ターゲット層の年齢が高いと適さないのでしょうか?
しかし、SNSのサービス利用者人口は増加しています。若い世代のみで利用者が増えているとも考えにくいです。
また、SNSが普及し始めてからもう何年も経っていますので、利用者も年を取っており、全体の年齢層が上がっている可能性もあります。
そこで、2016年と2020年のSNS利用率を比較してみました。プラットフォーム別にグラフでご紹介します。
本記事のデータはすべて、総務省の情報通信政策研究所が実施している研究「情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」を参照しています。
ちなみにここでいう「利用率」とは、アンケート調査にて特定のSNSを「見る」「書き込む・投稿する」のいずれか又は両方を選択した人の割合です。またアンケート回答者は13-69歳までの男女1500人です。
以下の資料では、SNSを活用して自社のマーケティングに役立てる「ペルソナに届くSNSの活用方法」を紹介しています。
自社のマーケティングにどのSNSを運用すればターゲットに届くのか知りたい、方は是非ご参考ください。

プラットフォーム別SNS利用率
Twitter利用率
まず、2016年と2020年のTwitter利用率の変化を、世代ごとに比べてみました。

Twitterは全体的に利用率が上昇しています。2016年と2020年のデータを比較すると、特に30代、50代の利用率増加幅が大きいですね!
今の50代のうち、28.1%がTwitterを利用しているようです。これは、4年前の30代と同じくらいの割合です。
日本において40代後半~50代は、そもそも人口が多い世代です。これらの世代の3割程度が利用しているとなると、かなりのボリュームになりそうですね。
また、同じ年度の利用率を世代間で比較すべく、線グラフにしてみました。

2016年では10代の利用率が最も高く、世代が上がるにつれて利用率が低くなっています。
いっぽう2020年では、20代の利用率が最も高く、僅差で10代です。世代が上がるほど利用率が下がりますが、2016年と比べると坂が緩やかになっています。世代間での利用率の差は縮小傾向にあるようです。
Instagram利用率
Instagramも同様に、2016年と2020年の利用率の変化を、世代ごとに比較します。

全世代で飛躍的にInstagram利用率が上がっています!
Instagramといえば、2017年に流行語として選ばれたことで、知名度が大きく上がった印象があります。当時は「最近の若者の流行」的に報じられていましたが、今は10代から50代まで、広く利用されているようです。
同様に世代間でも比べてみます。

なんとなくTwitterの利用率と似た形ですが、Instagramのほうが50代の利用率が高くなっています。
Facebookの利用率

「若者離れ」「高年齢化」と様々なメディアで言われているFacebookですが、その様子がデータにも反映されています。TwitterやInstagramとはかなり違う形ですね。
10代では微増していますが、20代・30代ではむしろ離脱が起こっています。いっぽう40代以降では利用率が増加していて、特に50代の利用率は大きく上がっています。
世代間で比較すると、特に利用率の高い年代が変化しているのが良く分かります。

2020年のグラフを見ると、2016年と比べてボリュームゾーンが上の年代に移動しています。
「オフラインでの繋がり」をより重視する人にとっては、Facebookは使い勝手がよく、より馴染みやすいサービスになります。40代以上の世代は、オンラインよりもオフラインでの繋がりのほうが重要だと考える人が多く、Facebookがライフスタイルに合っているのかもしれません。
LINEの利用率
日本で最も多くの人に利用されているSNSであるLINEは、日本のコミュニケーションには欠かせない、インフラ的存在になりました。

2016年度は、40代以下の世代の利用率が高かったのですが、2020年では50代で86%、60代でも68%が利用している状況です。50-60代の利用率上昇はかなり著しいですね。
ガラケーからスマートフォンに切り替える際、もしくは新たに取得する際に、合わせてLINEも利用し始めているということでしょうか。
世代間で比較すると、かなり平らなグラフになっていますね。

他のサービスと比べ、世代間の利用率の差が小さくなっていますね。LINEは、メールや電話に代わるコミュニケーション手段としてかなり定着した感があります。
TikTokの利用率
TikTokは2016年のデータがなかったため、2019年のデータと2020年のデータを比較しました。

10代・30代で利用率が上昇し、他の世代ではさほど変わらないという面白い結果になりました。
TikTokは短い動画を次々に視聴できるというサービスです。YouTubeよりも短い時間で閲覧でき、また動画でありながら気軽に投稿しやすいといった特徴が、10代の間で多く支持されています。
30代の利用率が5%近く上昇しているのは意外でした。30代は仕事や育児などで忙しい時期なので、短時間の動画を観るスタイルが適しているのでしょうか。
あるいは、10歳未満の子供がTikTokを好んでいて、子供のために利用しているシーンも考えられます。TikTokは利用者の好みそうな動画を次々とリコメンドしてくれるため、スワイプするだけで直感的に操作でき、子供にも使いやすい特徴があります。

1年間での差なので、まだ傾向ははっきり分かりません。今後の展開に注目したいサービスです。

まとめ
▼2016年のSNS利用率▼
|
Twitter
|
Instagram
|
Facebook
|
LINE
|
TikTok
|
10代
|
63.3%
|
24.5%
|
23.0%
|
77.0%
|
-
|
20代
|
54.8%
|
31.5%
|
61.6%
|
92.2%
|
-
|
30代
|
28.0%
|
18.5%
|
50.9%
|
77.8%
|
-
|
40代
|
21.9%
|
13.5%
|
33.5%
|
74.5%
|
-
|
50代
|
11.7%
|
5.1%
|
18.7%
|
42.8%
|
-
|
60代
|
4.7%
|
2.0%
|
9.3%
|
15.0%
|
-
|
▼2020年のSNS利用率▼
|
Twitter
|
Instagram
|
Facebook
|
LINE
|
TikTok
|
10代
|
69.0%
|
63.4%
|
28.9%
|
94.4%
|
47.9%
|
20代
|
69.7%
|
64.0%
|
39.3%
|
95.7%
|
20.4%
|
30代
|
47.8%
|
48.6%
|
48.2%
|
94.9%
|
12.6%
|
40代
|
33.4%
|
32.5%
|
35.9%
|
89.3%
|
5.5%
|
50代
|
28.1%
|
30.9%
|
33.5%
|
86.3%
|
6.5%
|
60代
|
9.3%
|
9.3%
|
12.1%
|
67.9%
|
2.8%
|
ここ数年で、SNSを利用している40代以上の割合は驚くほど増えています。
若年層と中高年層を比べると、若年層のほうが高い割合でSNSを利用しているのは確かです。しかし数年前と比較したときの増加幅をみると、中高年はSNSを使わないわけではありません。
若者のほうがSNSを利用する、というよりも、新しいサービスをいち早く利用するのは若い世代が多い、というほうが正確かもしれませんね。
Twitter, Instagram, Facebookに関して言えば、40-50代も約3割が利用しています。40-50代がターゲットの商品・サービスでも、SNSを上手に活用することで、顧客との距離を縮めることができるでしょう。
