
インフルエンサー施策は、広告展開手段ではない
今、最新情報を収集する場は、SNSへと移っています。
さらに、SNS起点でトレンドが生まれる時代でもあります。
そんな中ではマーケティング施策も、SNSを軸にしたものに変化しなければなりません。
しかし企業発信の投稿だけでは、多くの人の心を動かすことができません。
そもそも一般ユーザーは、企業の宣伝を見たいと思わないからです。
そこで、SNS上で影響力を持つ人の力を借りようという施策が
「インフルエンサーマーケティング」です。
InstagramやTwitterを見ている時に、企業以外のアカウントで商品などの宣伝を見かけたことはありますか?
(イメージが湧きにくい人は、#PR などのハッシュタグで検索してみると多くの投稿がヒットします。)
インフルエンサーマーケティングは、実に理にかなった考え方です。
しかし残念ながら実際は、その効果を発揮できていないケースがたくさんあります。
- フォロワーが多い人に投稿してもらったが、普段の投稿と比べフォロワーの反応が悪い
- PR投稿に付いているコメントの内容が「かわいい~」「そのピアスどこで買いましたか」などの商品とは関係ない内容ばかり
- 投稿へのコメントを見ると、肝心の商品には反応してもらえていない。
こんな感じだと、インフルエンサーに依頼して本当に意味があったのかな?と思ってしまうでしょう。
十分に効果を発揮できなかった原因の多くは、
「インフルエンサー=広告展開の手段」と捉えてしまっていることです。
インフルエンサーの影響力は、テレビに出ている芸能人やモデルの影響力とは全く性質が違います。
インフルエンサーが持つ影響力の性質を理解して依頼しないと、
インフルエンサーにPR依頼してもうまくいきません。
逆に言えば、
・インフルエンサーとはどんな存在で、なぜ影響力があるのか?
・インフルエンサーの投稿で、どうして売れるのか?
これら2点を踏まえることで、絶対に売れるようになります。
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インフルエンサーってキラキラ女子?
ところで、インフルエンサーにはなぜか
”おしゃれで充実した私生活を発信している、優れた容姿を持った女性” というイメージがありませんか?
テレビなどのメディアで取り上げられるインフルエンサーは、そんなキラキラした感じの方が多い気がします。
しかし実際は、キラキラ女子はインフルエンサーのごく一部です。
インフルエンサーの中には、自撮りしない人も、顔出ししない人も、硬派な投稿をする人も、女性以外の人もいます。
というのも、多くの人の支持を集めているアカウントは、今やあらゆるジャンルで存在しているからです。
たとえば「化粧品」「ファッション」といった想像しやすい部分から、
「結婚式」「マイホーム」といった、経験回数の限られたライフイベント、
「ビジネスのヒント」を発信するアカウントもあります。
SNSがこれほど多岐に渡るジャンルを網羅するようになったのは、InstagramやTwitterの目的が「眺めて楽しむ」→「情報収集」へシフトしていったことと無関係ではないでしょう。
SNSは「情報を収集し」「トレンドを発見する」場になっている
ここ数年、若い世代(ミレニアル世代~Z世代)を中心に、
欲しいモノ、興味の対象、やってみたい経験などをSNSで探すのが一般的になりました。
たとえば数年前までは、トレンドとは大勢の人が一斉に楽しむものでした。
しかし今はSNS起点で、小さなトレンドが日々生まれています。
また、トレンダーズさんの調査によると、Twitterで検索する時の目的は「(話題のトピックスなどに対する)世の中の反応を知りたい」(44.5%)という意見が半数近くです。
Instagramにおいては、オシャレな写真やグラフィックが中心だった数年前までとは違い、「有益情報やお役立ち情報」「情報が分かりやすい文字画像投稿」が主流になってきています。
今や「情報を求めてSNSを使う時代」が来ているんですね。
そんなSNS上の情報需要の高まりに応じ、「一貫したテーマ・得意ジャンル」を持っているアカウントがより伸びるようになりました。
消費者代表として、ちょっと頑張れば近づけそう、真似できそうな発信をしてくれる。
あらゆるテーマ・ジャンルにおいて、そんなアカウントが存在しています。
インフルエンサーと、芸能人やモデルの違い
「ちょっと頑張れば近づけそう、真似できそう」な感じを出すのは、簡単なことではありません。
ユーザーが求めているのは"情報"ではなく"活用のイメージ"です。ただ情報提供するだけでは、ユーザーのニーズを満たせません。
受け手に"イメージ"してもらうために、インフルエンサーは様々な工夫をしています。
たとえば、
- 毎回たくさんの質問が寄せられて対応しきれなくならないよう、質問を予想してキャプションに書く
- 昔の投稿を遡って見るのは大変なので、良く聞かれる質問はストーリーズのハイライトにまとめる
- ユーザーが求める情報を探しやすくなるよう、一枚目の画像で概要がつかめるように見出しを工夫する
- どんな発信をしているのか分かりやすいよう、全体の投稿のバランス・トーンを揃える
などなど。インフルエンサーの発信は何となく投稿しているように見えて、実はよく計算された魅せかたをしています。
彼らは消費者代表であり、コピーライターであり、マーケターでもあるのです。
こうした工夫を積み重ねて、「分かりやすい」「参考になる」と思ってもらえるようになると、フォロワー数やいいね数も伸びてきて、徐々にインフルエンサーと呼ばれるようになっていきます。
インフルエンサーと、芸能人やモデルは「影響力のある人」という点では似ていますが、その実態は全く異なるのです。具体的には、下記のような違いがあります。
インフルエンサー |
芸能人やモデル |
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芸能人やモデルは、テレビ出演だったり撮影だったり、今までの仕事によってファンを獲得していますよね。
これに対し、インフルエンサーの場合は、ほぼすべてインターネットの発信によってファンを獲得しています。
どちらかというと「消費者代表」の立場で、日々分かりやすく参考になる発信を継続していく。そうして積み重ねた信頼が、多くの人への影響力に繋がっているのが、インフルエンサーです。
芸能人やモデルの影響力が「知名度」によるものだとしたら、インフルエンサーの影響力は「信頼性」によるものと言えるでしょう。(もちろん例外はありますし、どちらに属するか曖昧な有名人もいます)
インフルエンサー経由でどのように売れるのか?
インフルエンサーの紹介した商品がすごく売れたり、プロデュースした商品が一瞬で売切れたりすることがあります。ああいった現象は、なぜ起こるのでしょうか。
これについては、ユーザーはどんな情報を信頼するのか?という点に答えがあります。
下記は、ミレニアル世代+Z世代(1980年代中盤以降に生まれた世代)に限って、「商品・サービスなどの購入に影響を与える要素」について質問し、影響が大きい順に並べたものです。
「面識がある人からの勧め」が最も影響力を与え、
4位「ソーシャルメディアで繋がっている人のレビューや推薦」
5位「YouTuber, Instagramerなどによる宣伝」となっています。
これはインフルエンサー施策は効果が薄いという意味ではありません!
下図では、主な情報媒体を「情報に接する頻度が高いか?」「信頼できるか?」「どのくらいのボリュームか?」の3要素で分解してみました。
X軸は「情報が信頼できるか」、Y軸は「情報に接する頻度の高さ」、
丸の大きさがボリュームを表します。
図の右上に近づくほど、先の調査結果にある「購買決定を後押しする」要素となっています。
SNS上の情報は、信頼できるもの~怪しいものまで、さまざまです。
しかしSNSはちょっとした隙間時間に利用できるため、頻繁に情報に接することになります。
つまり、SNSの情報に「信頼性」が伴えば、かなり大きく購買を後押しすることが可能です!!
(上図赤丸の部分を目指せば、購買を後押しできます)
インフルエンサーは、消費者代表であり、コピーライターであり、マーケターでもあります。積み上げた「信頼性」が仕事に直結するような人たちがインフルエンサーです。
すると、彼らの投稿を頻繁に目にすることによって、モノが売れるのは必然ですよね。
インフルエンサーに依頼しても売れないのはどんな時?
でも実際は、インフルエンサーにPRを依頼しても売れない場合がありますよね。なぜでしょうか?
サムライトさんの調査によると、「インフルエンサーの投稿を見て商品が欲しくなるのはどんな時ですか?」という問いに対して、
46.1%が「本当におすすめしているとき」、41.1%が「広告っぽくない投稿であった時」と回答しています。
言い換えれば、「PR投稿はインフルエンサーが本当におすすめしているものではない」「広告っぽいものは信頼できない」と、一般のユーザーは感じています。
インフルエンサーの普段の投稿は信頼できても、PR投稿は信頼できないと考えるため、インフルエンサーに依頼して紹介してもらった商品が売れない状況に陥っているのです。
かといって、PR投稿であることを隠して投稿してもらうのは絶対ダメです。ユーザーは、どれがお金をもらって書いたもので、どれが自発的な行動なのか?にとても敏感です。
これもSNSの影響ではないかと思うのですが、ステルスマーケティング、通称ステマに関する関心は年々高まっています。
2017年には、2万人以上のフォロワーがいるInstagramの人気ダイエットアカウントが、実は運用会社の社員によりメディアの宣伝目的で運用されていたと発覚。たくさんの批判の声が寄せられました。
2019年には、複数のイラストレーターや漫画家が、ある映画の内容を称賛する感想マンガを一斉に投稿。ステマではないかとの批判が多く寄せられ、結果として依頼側の企業は謝罪しました。
PRであることを隠して(あるいは明記せず)宣伝を行うことは、受け手の期待を裏切る事になります。
信頼を失うのは一瞬で、元に戻るのは困難です。リスクの大きすぎることはやめましょう。
PR投稿であることを隠さずに、図の右上を目指すことは可能です。
インフルエンサーへの依頼投稿で「信頼性」を保つ方法については、また別の記事で詳しく解説したいと思います。
まとめ
SNS上のインフルエンサーとは、地道な工夫の積み重ねによって「消費者代表」として信頼される人たち。キラキラしたイメージから、つい芸能人やモデルと混同しがちですが、実は全く異なる存在です。
インフルエンサー施策でモノを売るには、ただ広告を流してもらうのではなく、彼らの積み上げた「信頼」をいかにして活かすのかが鍵になります。
OWNLYでは、SNS上の投稿をハッシュタグで収集し、インフルエンサーを見つけることができます。ステマによってユーザーのインフルエンサーに対する信頼を失うことなく、最適な施策を行うためには最適なツールです。お困りの点などがございましたら、お気軽にご連絡ください。